瑞浪市の児童館に掲示されていた「不幸な子どもを育てるダメ親 10の行動」

 「不幸な子どもを育てるダメ親 10の行動」-。無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)に8月、30代の女性会社員(岐阜県瑞浪市)から「近所の児童館の張り紙に驚愕(きょうがく)した」と投稿があった。女性から指摘があった同市の児童館の遊戯室内にはA4サイズの紙が掲げられ、「ダメ親」の行動として10項目を挙げていた。

 10項目には、「カッとなる、暴力を振るう、感情を抑制できない」「汚い言葉使い、恥ずかしい行動、乱暴な振る舞い」といった、子どもとの向き合い方を説く内容のほか、「自分の子どもも、派手な服装(質素が良い)」「家事・炊事・掃除をしない、家計簿をつけない」など、私生活に言及する項目もあった。「親自身が育っていないアダルトチルドレンの姿。一つでも当てはまれば注意信号」とまとめている。出典は記されていない。

 あなトクに投稿した女性は「『ダメ親』もつらいが、『不幸な子どもを育てる』という言い方も落ち込む。市の子育てメッセージだとしたら今の時代にそぐわないと思う。児童館は子どもも大人も安らげる場であってほしい」と話した。

 同館によると、掲示物は10年ほど前に行われた子育てに関する講演会の資料を掲示したものだった。利用者からの苦情や問い合わせがなかったため、そのままにされていた。館長は「厳しすぎる内容も含まれていた。不快にさせていたとしたら申し訳ない」と陳謝。取材後に掲示物を撤去した。

 子どもの教育に詳しい岐阜聖徳学園大短大部幼児教育学科の徳広圭子教授は「世の中の保護者の大多数が『注意信号』になってしまう、おかしな内容。不特定多数の親子が利用する公共性の強い場にはふさわしくない」と指摘。「児童館には一生懸命子育てしている保護者を支える役割もある。カッとなる保護者に『ダメ親』とラベリングするのではなく、そのような保護者がSOSを出すことができるように寄り添ってほしい」と求めた。