シンデレラグレイ賞やコラボイベント開催で、早朝から堤防上にも並ぶウマ娘ファン

 ウマ娘ファン、トレーナーたちがオグリキャップの聖地・笠松競馬場へ殺到。今年は8000人超えの来場者で大盛況となった。早朝から場外に人波が押し寄せ、場内では熱いレースやお祭りムードのイベントが繰り広げられ、沸騰した。

 芦毛馬だらけの「ウマ娘シンデレラグレイ賞」などコラボ3レースと重賞「飛山濃水杯」が行われ、笠松デビューやリピーターの若者たちも聖地巡礼で熱狂。オグリキャップ役声優の高柳知葉さんらがトークショーで「聖地降臨」。コラボイベントもにぎやかで盛り上がり、飲食店前や馬券売り場にも長い行列ができた。

 過去2回、ウマ娘シンデレラグレイ賞はオグリキャップ記念の開催翌日に行われてきた。その看板レースは今年、1着賞金2500万円にグレードアップし、5月23日に実施。このため、6月の飛山濃水杯をオグリキャップ記念トライアルとして前倒し。シンデレラグレイ賞は集客が見込めるゴールデンウイーク中(4月29日)にそのまま開催された。

 オグリキャップが主人公で、笠松競馬場を舞台にした人気漫画「ウマ娘シンデレラグレイ」は4年前に連載がスタートし、大ヒット。コラボイベントは、集英社とCygames(サイゲームス)の協力で「ウマ娘プリティーダービー連携事業」として実施された。

第2駐車場北側の待機エリアで開門を待つウマ娘ファンたち

 ■7時に来場、昨年に続いて待機列一番乗り

 「ウマ娘パワー」で開門前の行列は今年もすごいことになっていた。木曽川河畔にある笠松競馬場。晴れ間も見られ、早朝から大勢の若者らが続々と詰め掛けた。第2駐車場には堤防へと続く行列ができ、遠方からマイカーや始発電車で来たファンらも開門を待った。レース前のお目当てはクリアうちわ(4000枚)やポップアップストア、場内売店でのポストカードのプレゼントなどだ。

 7時半になると、スタッフの指示で北側広場に待機列が形成された。前の方に並ぶことができた聖地巡礼のウマ娘ファンたちに来場目的や「推しウマ娘」などを聞いてみた。

 「一番乗り」となったファンは、昨年と同じく三重県四日市市から始発電車で7時に来たという40代男性だった。「既にいっぱい並んでほぼ埋まっていて、一番乗りじゃなかったが『ハイここ』みたいな感じで先頭になりました。今年は倍以上の人がいて多いですね」と驚きながらも、昨年の経験を生かして「一番乗りV2」とは強運の持ち主だ。

 好きなウマ娘は「ナイスネイチャです。募金(引退馬支援活動のメモリアル寄付)はすごく多いですね。ポップアップストアは金曜日から2~3時間待ちでしたし、大型連休で全国から来ているのでは」と既にウマ娘イベントは盛況。夜明け前にマイカーで到着した遠征組も多くいたようで、車にはウマ娘キャラが描かれたりしており、和歌山、岡山、多摩ナンバーなどもあった。

駐車場内の最後尾へと向かう来場者たち

 ■「オグリの格好をして楽しみたい」

 2番手は名古屋市の男性で7時15分ごろに到着。「係員の近くにいたら、一番おいしいタイミングで来たことになりました。推しウマ娘はメジロアルダンで、オグリキャップとも世代が近いかなと。まずクリアうちわが欲しかったのとウマ娘ポストカードをたくさん集めたいです」と。続く男性は「ウマ娘関連の記念レースがいっぱいあるんで、そのレースの競馬をやりたいです」と。オグリキャップのコスプレ姿で来場したのは一宮市の高校生で「声優さんのトークショーを見たい。キャラクターと競馬場のコラボは3回目なので、オグリの格好をして楽しみたいです」

 千葉市から夫婦で来たという女性も「オグリが好きで、車で6時間かかりましたが、トークショーや食べ物など全部楽しみたいです」。豊橋市の男性は「キタサンブラックが好きですが、生まれた時にオグリが活躍していた。ウマ娘がきっかけで知った。けがをして戦線離脱したが、温泉療養で復活。いっぱい走らされても掲示板を外さず、有馬記念以外は連対してすごかった」とオグリ愛にあふれていた。

 愛知県内の男性は「シンデレラグレイでオグリが好きになって、ポストカードも集めているんで」「シュヴァルグラン役の声優さんのトークショーが楽しみ」。岐阜市の男性は「6時ごろに来て、時間まで堤防をぶらぶらして調教も見ていました。キングヘイローちゃん推しで、オグリやシュヴァルグランの声優さんも好きです」といった声が相次ぎ、ウマ娘人気の沼は底なしのように感じられた。

開門は1時間早まり、続々と入場するファンたち。クリアうちわをゲットし、お目当ての店へダッシュした

 ■1時間早く開門、クリアうちわやポストカードをゲット

 開門は通常より1時間早い9時に。待ちわびていたファンたちは続々と正門をくぐると、お目当てのオリジナルクリアうちわをゲット。昨年は1000枚ほど残ったが、今年は正午までになくなった。入場者はウマ娘ポストカードを各店で次々とゲット。ライブ会場のような雰囲気となった笠松競馬場内。迫力満点の競走馬たちの熱戦とともに、ファン一人一人が当たり馬券やウマ娘グッズなど、それぞれの夢を追い掛けながら、昭和レトロ感が漂う場内を探訪した。

オグリキャップ像前ではウマ娘等身大パネルの新作が設置され、撮影スポットに。「オグリの絵馬掛け」にも行列ができた

 ■等身大パネルや「オグリの絵馬掛け」も人気

 オグリキャップ像前や特設ステージにはウマ娘プリティーダービー等身大パネルを設置。オグリキャップ&タマモクロスの描き下ろし2体も新設され、カメラやスマホを手にしたファンたちが写真撮影を満喫。「オグリの絵馬掛け」前にも行列ができ、自作のウマ娘で願掛けしたり、作品を見て楽しんでいた。西スタンド2階ではシンデレラグレイ複製原画展も開かれ、注目を集めた。

にぎわう丸金食堂前。ご当地グルメを買い求め、その味を堪能した

 ■ オグリは大食いキャラ、飲食店前に70~80人の長い列

 ウマ娘関連グッズが人気のポップアップストアは約3時間待ちの長い行列ができ、オリジナルドリンクなどが楽しめるアニメイトカフェもにぎわった。飲食店前には70~80人の長い列ができ、「きしめん」「どて飯」などで評判の丸金食堂では串物、おでんなどが飛ぶように売れた。

ウマ娘パネルが設置された特設ステージ前には長い行列ができた

 寿屋のお得感満点の大きな唐揚げや三津和家の「鉄板メニュー」焼きそばなども好評。「最後尾」のプラカードをファンが交代で掲げて、スタッフの声掛けとともに整然と列を形成し、好感が持てた。「笠松ではお酒も飲めるので、また来たい。でも店内はガラガラだった」という意外な証言もあった。やはり日本人は行列好きなのか。

 オグリキャップは大食いキャラで有名だが、一昨年は1R開始前に各店の食材がなくなる異常事態もあった。このため、昨年から人気メニューは豊富に用意され、混乱なくスムーズな流れになった。

「オグリの里」1聖地編、2新風編の即売会では「推しウマ娘」の人気投票も行われた

 ■「オグリの里」即売会、「推しウマ娘」の人気投票も

 オグリキャップがシンデレラグレイ第1巻で、ウイニングライブとしてカサマツ音頭を踊った特設ステージ近くでは「オグリの里」第1巻・聖地編、第2巻・新風編の即売会を開催。過去2回のシンデレラグレイ賞のゴールシーンなどのポストカードをプレゼント。「推しウマ娘」の人気投票も行い、盛り上がった。

 広島県尾道市から電車を乗り継いで来たという男性は「笠松競馬場は初めて。ウマ娘のイベントもあって、好きな馬はオグリキャップですね」。愛知県犬山市のファンは「ヤマニンゼファーとかが好きで、久しぶりの祝日開催で来ました」と本をお買い上げ。推しウマ娘の人気投票もスタートした。

新設されたフジマサマーチ賞で、スタンド前を駆け抜ける各馬

 ■「フジマサマーチ賞」新設に感激 

 今回はフジマサマーチ賞が新設された。シンデレラグレイの漫画に登場したマーチトウショウ(作中・フジマサマーチ)にふんした男性は「推しとしては非常にありがたいし、うれしいです。必ず来ると思ってましたし、ようやく3回目にして実った」と感激。

 オグリキャップにはデビュー戦などで2回も勝ったマーチトウショウだったが「中央入りしてからは不遇な馬でした(2桁着順が続き)。せめて1勝はしてほしかった。きょうはウマ娘関連のレース名が多く付いていて面白いんで楽しみたい」と第1回フジマサマーチ賞の開催を喜んでいた。【次回に続く=(中)栗毛、芦毛激闘】


※「オグリの里2新風編」も好評発売中

 「1聖地編」に続く「2新風編」ではウマ娘ファンの熱狂ぶり、渡辺竜也騎手のヤングジョッキーズ・ファイナル進出、吹き荒れたライデン旋風など各時代の「新しい風」を追って、笠松競馬の歴史と魅力に迫った。オグリキャップの天皇賞・秋観戦記(1989年)などオグリ関連も満載。

 林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、206ページ、1500円。岐阜新聞社発行。笠松競馬場内・丸金食堂、ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、ホース・ファクトリー、酒の浪漫亭、小栗孝一商店、愛馬会軽トラ市、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。

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