卒業証書を受け取っても、まだ卒業していない―?

 卒業後の「身分」ってどうなるの―? 卒業シーズンの3月、各地の学校では式典が催され、若者たちが晴れの門出を迎えている。そんな中、無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)に、中学生の親子から疑問の声が寄せられた。「中学校を卒業したけど、遊園地などの入場券は中学生料金のままでいいの?」。そういえば、卒業と入学の谷間はどんな「身分」なのだろうか。調べてみた。

 今月8日に行われた岐阜県内のある公立中学校の卒業式。厳かな雰囲気の中、卒業生は1人ずつ壇上で校長から卒業証書を受け取った。書面を見ると、卒業生の名前に続いて「右は中学校の課程を卒業したことを証する」とあり、校長名の前に「令和六年三月八日」と書いてある。式の日付をもって中学校を卒業したことを証明しているように読み取れる。

 しかし、県教育委員会義務教育課に尋ねると「小学校も中学校も、3月31日まで在籍している扱い」という。卒業式を終えても、本当の「卒業」は年度末というわけだ。3月中に高校入試や合格発表があっても、それは変わらない。

 遊園地などの入場券で「中学生料金」が設定されている場合、3月中であれば恩恵が受けられる。逆に4月以降に中学生割引を受けようとすると、不正と扱われる可能性があるので注意が必要だ。

 では、4月以降の身分はどうなるのか。県立高校に入学手続きを済ませたケースについて、県教育委員会高校教育課は「入学式の前であっても、4月1日から籍がある」と説明する。

 入学式では、校長があいさつで「入学を認めます」と〝入学許可〟を出すのが通例。しかし「あれはただのセレモニーのようなもの。実際には4月1日から高校の生徒」(同課)だそうだ。

 中学校を卒業しても3月31日までは中学生、高校には入学する前の4月1日から高校生というわけだ。友達と思い出づくりの卒業旅行に行く生徒も多いはず。年度をまたぐと施設の入場料金が変わってしまう可能性もある。自分の「身分」をお間違えなく。