記者会見する国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務局長=23日、ロンドン(AP=共同)

 【ロンドン共同】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは24日、世界の人権状況をまとめた年次報告書を公表した。人工知能(AI)の急激な発展が、法の支配をより速く崩壊させる恐れがあると警告。「規制の遅れが続けば人権侵害を助長させる危険性がある」と強調し、各国政府に強固な規制を整備するよう求めた。

 報告書は、民族対立にフェイスブックのアルゴリズム(計算手法)が使用されたり、少数派の抑圧に顔認証技術が乱用されたりしていると指摘した。カラマール事務局長は、規制なき生成AIや顔認証、パソコンやスマートフォンから情報を抜き取るスパイウエアが、国際法違反や人権侵害を「異常なレベルまで深刻化させる」と警鐘を鳴らした。

 イスラエル政府がパレスチナ自治区ガザで「国際法を愚弄し、戦争犯罪の証拠が増えている」と強調。英国とドイツなどの欧州諸国がイスラム組織ハマスやウクライナに侵攻するロシアを非難する一方、イスラエル政府やイスラエルに武器を提供する米国を支持するのは「グロテスクな二重基準」だと非難した。