工房の前で甲冑姿でポーズをとる市島英司さん=恵那市岩村町
小さな部品も自ら手作りする市島英司さん=恵那市岩村町

 岐阜県恵那市岩村町の別荘地で、黙々と趣味の甲冑(かっちゅう)作りに没頭する市島英司さん(62)=名古屋市=。「岩村町の風景にぴったり合う」と話し、素材や質感にこだわり当時の材料である鉄を使い、作り方を再現している。

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 子どもの頃から城と戦国時代が好きで各地を旅してきた。薬剤師として働き、2004年、デパートで開かれていた甲冑展で、三重県の甲冑師故藤澤宗忍さんの作品を見て「衝撃を受けた」と話すほど雑賀(さいか)甲冑に感銘を受けた。その日以来、藤澤さんに師事。雑賀甲冑は、鉄をあえてさびさせ、凹凸を付け完成させる。

 「自宅では騒音が気になる。周りを気にせず好きなことをして余生を過ごしたい」と2019年に岩村の別荘地に工房を開設し、甲冑製作家「岩村英珍(えいちん)」の名で活動を始めた。週の初めは名古屋市で薬剤師として働き、木曜日から週末にかけては岩村町で、本を見て自分でもアレンジして甲冑作りに取り組んでいる。

 1領(一式)作り上げるのに最低1年。活動18年間で2領、変わり冑(かぶと)8頭、雑賀冑10頭を制作した。一つ一つのパーツもすべて手作り。釘ひとつとっても、そのまま使えず削って太さを調整し鉄板を組み合わせる。「鉄をたたき曲線をだすのが一番難しい」と語る。鉄板を重ね合わせるための釘や飾りも既製品はなく、地道に鉄を切断しヤスリで磨く。「パーツを作るだけでも作業時間はかかる」と話す通り、冑一つに100個以上の釘を使うこともある。

 作り上げた作品は県内外で展示会を開いたり、イベントで着用している。5月には恵那市明智町で開かれた光秀まつりの行列に参加。10月には全国山城サミット恵那大会に参加する予定。市島さんは「今後も戦国時代から江戸時代に使われた甲冑にこだわって作り続けたい」と意欲を燃やしている。