岐阜地方最低賃金審議会は23日、今月5日に岐阜労働局長に答申した通り、2022年度の県の最低賃金を現行の時給880円から910円にすることを適当とする意見をまとめ、30円の賃上げが事実上決定した。同局が9月1日に公示して正式に決まり、10月1日から発効する。過去最大の賃上げ額で時給が初めて900円台になる。同局によると、県内の約6万8千事業所のパートとアルバイトを含む労働者76万3千人に適用され、このうち、推計で約6万1千人が引き上げの対象となる見込み。

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 県内の労働団体は賃上げを評価する一方、雇用側の経済団体からは、新型コロナウイルス禍や物価上昇を背景とした企業経営と雇用維持への影響を懸念する声など、多様な意見が上がった。

 連合岐阜の筒井和浩会長は「過去最大の引き上げ額であり、最低賃金の近傍で働く人たちの生活改善に多少なりとも資する」と評価。31円の賃上げが行われる予定の愛知県との格差については「労働人材の流出要因の最たるもの。産業界、自治体、労働団体が危機感を持ち地域間格差是正に取り組む必要がある」と強調した。

 経済団体からは、中小企業への支援や税制見直しなどを求める声が相次ぐ。県商工会議所連合会の村瀬幸雄会長は「足元の物価上昇が強く考慮された一方、コスト増加分を価格に転嫁できない企業の経営実態や、日本の経済成長率を十分に反映しているとは言いがたい」とコメント。中小企業の経営者が事業存続と雇用維持に努力しているとして「存続の危機にある地域の中小・小規模事業者の実情に合わせた柔軟な支援策を求める」と政府に訴える。

 県経営者協会の山口嘉彦会長は「中小企業など厳しい状況にある企業の(賃金の)支払い能力について十分に理解が得られなかったのは残念」と受け止め、中小企業支援策として「業務改善助成金など企業の生産性向上への支援について、より一層の実効性ある拡充を強く要望する」と求める。

 県経済同友会の中川正之筆頭代表幹事は「過去最大の引き上げ幅となったが、先進国の中では依然として低い水準にあり、経営者の一人として忸怩(じくじ)たる思いだ」と賃金水準の低さに言及。下請け企業が利益を上げにくい経済構造、配偶者控除や社会保険料の制度の見直しが進んでいないことが賃上げの阻害要因とした上で、「持続的な賃上げの流れをつくるには、賃金を上げにくくしている原因を早く取り除く必要がある」と唱える。