◆専門用語は翻訳アプリで習得
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「RICK 陸」。岐阜県可児市羽崎の林酒造で、横文字の銘柄の日本酒が4月から登場した。仕込んだのは、米国ニューヨーク出身の蔵人リック・ヤングさん(36)=同市菅刈=。同酒造で酒造りに携わって2年。自身の日本酒をデビューさせた。
2017年に英会話講師として来日したリックさんは、翌年に結婚。妻の裕未さん(33)が同酒造の林伊兵衛社長(61)と知り合いだったことが縁で、2019年に酒造りの体験をしたことが転機になった。「日本酒を飲んで酒のおいしさを知った。限られた素材で様々な味ができることと、職人の仕事に興味があった」とリックさんは話す。同年4月にアルバイトとして蔵人の仲間入りをし、昨年4月に正社員となった。
麹(こうじ)造りや酵母の管理、精米、醪(もろみ)の仕込み、搾りなど、蔵人は日本酒のあらゆる工程に携わるため、専門用語の理解や複雑な知識が必要になる。リックさんは携帯電話に入れた翻訳アプリを使って理論を教えてもらい、技術や感覚は先輩の動きを見て身に付けた。
「自分の酒を仕込んでみないか」。林社長から促されたのは昨年の秋。リックさんは可児市で収穫された米を使い、林社長のサポートを受けて、今年3月中旬に純米吟醸酒を完成させた。香り高く、新鮮味を感じさせるインパクトの強い味で、リックさんは「味のバランスが取れていて、おいしく仕上がった」と話し、林社長も「米の個性を出せている」と評価する。
「RICK 陸」の名称はリックさんと裕未さんが考えた。自然が好きなリックさんをイメージし、大地に足をつけて生きるという意味の「陸」という漢字を当てた。同酒造の銘柄で、酒造りに携わった人の名前を使うのは、代々受け継がれている当主の名前「いひょうゑ」だけだが、林社長は「日本酒への情熱を強く持ってほしい」と、名前の使用を認めた。
コロナ禍で帰国出来ず、米国の両親に約1年半会えていない。法律上の制約があり、日本酒を米国に送ることができないため「両親に飲んでほしい」との願いは今のところ実現していない。その分、顧客からの反応が励みになる。お披露目となった4月の試飲会では、他の銘柄と比べて売れ行きが一番良かった。
リックさんは「酒造りをこの先ずっと続けるかは分からない」と話す。そんなリックさんを見守る林社長は、将来を見据えてこう語る。「この酒造で頑張ってほしいが、仕込むだけが酒造りではない。世界で日本酒の文化を広める役割を果たしてくれるのもいい」。










