水中の格闘技とも呼ばれる水球。激しいぶつかり合いに加え、球技ならではの連係プレーやスピード感などが魅力だ=大垣市美和町、大垣東高校

 開幕まで間近に迫った東京五輪。期間中は33競技339種目が繰り広げられる。なじみのなかった競技に触れることができるチャンスで、ルールを知れば楽しさは一層増すはず。大会への出場が見込まれる岐阜県内のチームや選手から、本紙記者が競技の基本や見どころを教えてもらう。

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 五輪編最終回の第6回は、五輪競技の球技種目の中で唯一、プールを舞台に行う水球。前回大会で32年ぶりの五輪出場を決めた男子は、東京五輪でも躍進が期待される。県勢の育成に携わってきた大垣市水球クラブで競技の魅力を探った。

 水球は、水深2メートル以上のプールに男子の場合は縦30メートル、横20メートルのコートを設けて、2チームがゴール(得点)を競い合う競技。ルール上、守備側の選手は、ボールを保持している攻撃側の選手に激しく当たることができるため、「水中の格闘技」とも呼ばれている。さらに、攻撃側は攻撃開始から30秒以内にシュートまで持ち込まなければならず、スピーディーな試合展開も特徴となる。荒々しさ、スピード性、そして球技特有の多彩な戦術。見どころの多い競技だ。

 コートに出るのは、ゴールキーパーを含めて1チーム7人。1ピリオド8分で、4ピリオドを1試合で行う。

 試合時間は、試合中(インプレー)のみ計測されるため、ファウルなどに伴う時間は含まない。「1ピリオド8分」は正味時間で、実質10分程度、長いときは15分近くになるピリオドもあり、選手は1試合当たり計1時間ほど、足のつかないプールで水平を保つ「巻き足」などを駆使して泳ぎ続ける。「30秒ルール」もあるため攻守の入れ替わりは激しく、試合展開は終盤までもつれることが多い。大垣市水球クラブの中野陽太さん(14)は「球技、競泳、格闘技。複数のスポーツが一つに詰まっている点がやりがい」と水球の魅力を語る。

 ゴールキーパーを除く6人の選手は、ゴール前で得点を狙う攻撃の要「フローター」と、相手の攻撃を防ぐ「フローターバック」を軸に、左右にパス回しやシュートを狙う「ドライバー」のポジションがある。攻守とも、相手の表情や目線の動き、体の向きなどを見て駆け引きをしながらプレーをしており、西川大貴さん(14)は「試合ではボールを持っていない選手にも注目してほしい」と話す。

 水球の華といえるのが、シュート。鍛え抜かれた体を水面から浮かび上がらせて放つ強烈なシュートのスピードは、男子では時速70キロほどにもなるという。腕を背面に回して投げるバックシュート、水面でボールを跳ねさせるバウンドシュート、守備の虚を突いて山なりに投げるループシュートなど、種類は多彩だ。

 日本代表は、ギリシャ神話に登場する海の神ポセイドンにちなみ、「ポセイドン・ジャパン」の愛称で呼ばれている。大垣市水球クラブで指導に当たる細野雄樹県水泳連盟水球委員長は、男子ポセイドン・ジャパンの強みは泳力にあると分析。「小回りが利き、スピードと技術で勝負している。泳力を鍛えた日本らしい戦い方を発揮して、まずは1勝を目指してほしい」と期待を注ぐ。