研修会で税務署員(手前)から話を聞く調教師=5月、羽島郡岐南町薬師寺、厩務員会館

 所属する騎手や調教師の馬券の不正購入や、所得税の申告漏れが明らかになった問題の調査などに伴い、笠松競馬場(岐阜県羽島郡笠松町)のレース開催は1月から5カ月間にわたり自粛が続いている。再開できる時期は不透明だが、運営する県地方競馬組合などは再発防止と信頼回復に向け、取り組みを始めている。

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 組合は4月、再発防止に向け、厩務(きゅうむ)関係者と職員の意識改革や、監視体制の強化策を打ち出した。天野富三事務局長は「多くのファンのためにも、信頼回復に向けて迅速、着実に進める」と強い決意で防止策に臨む。5月には関係者の研修会を実施した。厩務関係者を対象にした税に関する研修会では、税務署員が講師を務め、確定申告などの基礎的な留意点を確認した。出席した、騎手と調教師でつくる県調騎会の騎手部会長、大原浩司騎手(41)は会終了後、報道陣の取材に「さまざまな人にご迷惑を掛け、申し訳なかった」と一連の不祥事についてわび「普段から疑われるような行動をしないよう心掛け、再発防止に努める」と話した。

 後日開いた組合職員の研修会では、地方競馬全国協会の職員から、他の競馬場で起きた不祥事を参考に競馬法を学んだ。天野事務局長は「公正確保の重要性を再確認した。厩務関係者のものを含め、研修会は定期的に開いていく」と話す。監視強化では「死角がないように」(組合)、調整ルームや騎手、調教師の控室の監視カメラを従来の約2倍の計58台へと増やした。

 「一部の者とはいえ身内が起こした不祥事。自分たちが意識を改め、一丸となって防止策を実行していかなければ」と県調騎会の会長、後藤正義調教師(41)は覚悟を示す。会としても新たに倫理憲章をつくるほか、会則見直しに着手した。組合職員と一緒に調整ルームの見回りを行うことも検討している。「不祥事により支えてくれていた地元の人を裏切ってしまった。まずは地域貢献をしたい」(後藤調教師)として競馬場のある笠松町内などで近く清掃活動を行う予定だ。

 笠松競馬は当初、7月の再開を目指していたが、研修会で厩務関係者の所得税の申告漏れが発覚。調査を行うため、県は7月の再開は困難との見解を示した。

 笠松競馬場所属の騎手は処分により3分の2の10人まで減ったが、組合は「名古屋競馬場所属の騎手から、笠松競馬への出場の了解を得ており、レース自体に影響はない」とする。

 ただ組合は開催自粛で馬主や厩務関係者に補償金を支給しており、長期化は収支に影を落とす。インターネットによる馬券の発売が好調で昨年度まで単年度収支は8年連続で黒字だったが、本年度は「自粛が続いて入り(収入)はなく、出る一方。早く開催にこぎ着け、挽回したい」(組合関係者)と焦りを口にする。

 50年来の競馬ファンという羽島郡岐南町の70代男性は「ファンを悲しませることは二度と起こさぬよう関係者には襟を正してもらいたい。伝統ある笠松競馬が忘れ去られてしまわないために、1日も早く再開してほしい」と切実に願った。

 【笠松競馬の不祥事と処分】 県地方競馬組合は長期間、グループで馬券を不正購入していた元騎手、元調教師の4人を「競馬関与禁止」、同グループに関わり、馬券の購入や馬の情報を提供して見返りに現金を受け取っていたなどとして、現役の騎手5人と調教師3人を6カ月から5年間の「競馬関与停止」の処分とした。地方競馬全国協会は8人の騎手、調教師免許を取り消した。うち騎手だった2人は組合などを相手に処分の取り消しを求めて、岐阜地裁に提訴している。他の調教師ら18人と、組合の管理者、職員計21人も賞典停止や戒告などの処分を受けた。