「めい想の小径」の下り。狭い道が続く=5月、金華山
岩が多い「めい想の小径」の下り。登りよりも下りの方が事故も多く、少しの油断が事故につながる=5月、金華山

 新型コロナウイルス感染症の5類移行で行動制限が解除され、登山が人気を呼んでいる。特に低山は身近で手軽に感じ、訪れる人も多い。しかしその低山で事故が相次いでいる。県内の山岳事故は北アルプスを除くと、今年に入ってすでに26件起きている。標高がそれほど高くない山でなぜ事故は起こるのか。事故が多い金華山(岐阜市)に焦点を当ててみた。

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 1月31日午後0時ごろ、めい想の小径(こみち)で、岐阜市の60代男性が下山中に滑落し、外傷性くも膜下出血で搬送された。5月3日にはめい想の小径を登山中に、岩場で70代男性が足を滑らせ転倒、鎖骨や肩甲骨などを折った。

 金華山は標高329メートルで、10通りの登山道がある。岐阜城を訪れる観光客も多い。県警地域課によると、金華山では昨年、転倒や滑落で13件の通報や届け出があり、今年は3件が報告されている。「一見少ないように見えるが、単独の山では非常に多い数字」と同課の山岳担当者は話す。

 原因は何なのか。金華山での事故は転倒、滑落などが多い。最も事故が多いのは「めい想の小径」の下りルート。一見、一番険しいとされている「馬の背」ルートでの事故が多そうだが、県警山岳担当者は「めい想の小径は初心者向けというが、下りは岩などが露出している。他にも道が細く、足を滑らせ滑落してしまうこともあり、甘く見ないでほしい」と話す。

 昨年はめい想の小径で、登山道でない道を通り、重傷を負った事故もあった。決められた登山道を通るのも身を守ることにつながる。友人らと週1回金華山に登るという各務原市の女性(47)は「金華山は事故が多く、低くても侮れない。何かあったときに備えて、一人で登るときには友人らに報告している」と話した。

 登山者向けスマートフォン地図アプリ「YAMAP」を運営するヤマップ(福岡県)によると、アプリ内で金華山に登った記録数は年間約1万5千件で、人気の高い山だという。ヤマップの担当者は「金華山はアクセスがよく、ロープウエーがあることで短時間で行けるため、季節を問わず安定的に人が訪れているようだ」と説明する。

 チャートの山で、岩肌が多いこともあり、下山中の気の緩みが命取りになる。県警山岳担当者は「登山者が多ければ自然と事故も増える。手軽だと言われても山は山。事故は起こっているので油断は禁物。準備などを含め、登山の基本を思い返し、注意して楽しんでほしい」と呼びかける。

 

■実際に下ってみた

 事故が一番多いとされる「めい想の小径」の下り。登山ほぼ未経験の記者が5月中旬に下ってみた。

 「下りは踏み外したら一気に滑るよ。靴は滑らないやつ、用意してね」。県警の山岳担当の警部に言われたとおり、トレッキングシューズを用意した。

 午後0時。気温は30度超え。登ってくる人とはすれ違うものの、あまり下ってくる人はいない。慎重に足の踏み場を探す。下りの方が足に負担がかかり、落ちそうな感覚になり怖い。チャートの山だから岩肌も多い。一部道の狭いところがあり、登山者とすれ違うのは困難だった。とにかく危険な場所はゆっくり下った。

 岩肌もなくなり歩きやすい道になってきた。しかし、事故は岩肌が見えていた部分ではなく、比較的歩きやすくなった場所で起きている。険しいところを過ぎて気が緩んだのか。体力がなくなったのか。

 歩きやすい道は割と楽に歩けてしまうが、道が狭く、滑落したら大けがにつながる場所も多い。下りは楽なルートを選ぶのも事故を防ぐには効果的だ。

 取材中、県警山岳担当の警部は「事故のない楽しい登山にしてほしい」と話していた。持ち物や装備品、あとは低山だからと気を緩めないことが大切だ。