「郡上鼻緒」の生産へ意欲を燃やす山根さきさん=郡上市八幡町殿町、花篭

 郡上おどりに欠かせない踊りげたの鼻緒の製造に、地元岐阜県郡上市にU・Iターンした女性2人が挑んでいる。市内に製造業者はなく、流通する鼻緒はほぼ全てが県外産。地域の素材の活用や雇用創出を狙い、「郡上鼻緒」として新たな地場産業に発展させる夢を描く。

 「日本三大盆踊りの市場が目の前にあるのに、寂しくないですか」。同市八幡町市街地にある雑貨店「創作和小物店 花篭」で、スタッフの山根さきさん(26)=同市高鷲町西洞=はそう話す。「げた台も近年までは全て市外から仕入れていた」と振り返る。

 八幡町でげたを販売する店舗は5軒あり、人気店の年間の販売数は3千足に上るという。市産材を使ったげた台は地元でも作られているが、鼻緒は滋賀県長浜市など県外で生産されたものを仕入れている。

 プロジェクトに挑戦するのは、花篭のオーナーで岐阜市出身の吉澤英里子さん(46)=郡上市白鳥町那留=と、昨年東京からUターンした山根さんの2人。花篭で鼻緒の製造、販売を目指している。

 郡上鼻緒の構想は、吉澤さんが創業当初から抱いていた。老舗店の職人の下に通い続け、5年ほどかけて作り方を学んだ。シルクスクリーン印刷や郡上本染、鹿革など市内の素材を活用し「メード・イン・郡上」の鼻緒作りを目指す。

 狙いの一つが雇用の創出。雑貨店では吉澤さんを含め、スタッフの9割が子育て中の母親。鼻緒作りには手作業の工程が多いが、子育て中の女性や高齢者、障害のある人でも家庭でできる仕事があり、多様な働き方を探る。

 新型コロナウイルスの影響で、郡上おどりは2年連続で中止となった。山根さんは「復活した際には全国のファンに郡上鼻緒のげたを履いてほしい」とし、「地域に根差した産業になれば」と願う。

 支援をクラウドファンディング(CF)で呼び掛けている。目標額は100万円。ミシンや検針器などの設備投資費のほか、材料費に充てる。30日までCFサイト「キャンプファイヤー」で募っている。