試合を見守る斉さんと恒成選手(右)=5日午後、多治見市役所

 東京五輪のボクシング男子フライ級準決勝で5日、田中亮明(りょうめい)(27)はフィリピン選手に敗れ、銅メダルが決まった。並み居るメダリストを下して勢いに乗っていただけに地元からはため息が漏れたが、試合を見守った弟でプロボクサーの恒成選手(26)は「これ以上ないオリンピックだった。兄は全てを出し切った」と評価し、父の斉(ひとし)さん(54)は「自分の信念を貫くボクシングに胸が熱くなった」と健闘をたたえた。

 地元の多治見市役所からは、2人のほか「亮明・恒成多治見後援会」の幹部ら約20人が声援を送った。判定負けを喫したものの、「亮明ナイスファイト!」「よく頑張った。感動をありがとう」とねぎらいの言葉が上がり、温かい拍手が送られた。

 恒成選手は五輪での兄の戦いを振り返り、「戦い方は今までとは真逆くらいに変わった」と語る。田中が五輪代表に内定した昨年、まだまだ伸びしろがあると感じて「今のままじゃ勝てないよ」と伝えた。それから1年。相手と距離を取り常にカウンターを狙うような守り重視のスタイルから、自分から仕掛ける攻めのボクシングに進化した。恒成選手は「相手を倒すという気持ちがあふれていて、見ていて気持ちが良かった。僕もあんなボクシングをしたいと思わされた」と感慨深げに話す。

 元東洋太平洋スーパーフライ級王者で、田中の恩師でもある石原英康さん(45)らは中京高校で見守った。田中の変化を「最後の最後で彼がたどり着いた男前のストロングスタイル」と評し、「こんな選手に育ってくれたことをうれしく思う」と目を細めた。結果は銅メダルだったが、石原さんは「彼はメダルより大切なものを追い掛けていたように感じる。一戦一戦が金メダルに値すると思う」と力強く言い切った。