米国防総省で式典に出席したオースティン米国防長官(右)とフィリピンのマルコス大統領=12日(AP=共同)

 【ワシントン、マニラ共同】米太平洋陸軍は16日までに、フィリピン軍との共同軍事演習の一環として、中距離ミサイルが発射可能な装置を同国ルソン島に11日に展開したと発表した。米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約失効を受け、地上発射型のミサイル装置を配備する初の例とみられる。南シナ海で軍事活動を継続する中国をけん制する狙いがある。

 米軍内には急速な軍拡を続ける中国に対抗するため、日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に射程500キロ以上の中距離ミサイルを置く構想があり、今後具体化するかどうかが注目される。

 太平洋陸軍は声明で「フィリピン軍との相互運用性や即応力、防衛能力を高める重要な節目となる」と意義を強調した。発射装置には迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク」が搭載可能という。

 米国は射程500〜5500キロのミサイル全廃を定めたINF廃棄条約が失効したことで地上発射型中距離ミサイルの配備が可能になった。