2021年3月に名古屋出入国在留管理局施設で収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が11日、名古屋地裁で開かれ、体調不良を訴えるウィシュマさんを診療した非常勤内科医の証人尋問が行われた。検査で異常値が出ても外部の医療機関で点滴を受けるよう指示しなかった理由について「私が判断しなくても、必要なら入管の判断で連れていくと思った」と述べた。
原告側は異常値が見られた血液や尿の検査結果を受けて、点滴の必要性を検討したかどうかを追及。医師は、入管に点滴の設備がないため「私に判断権はなかった」と述べたほか、生命維持に点滴が必要な状態ではなかったとの認識を示した。
法廷のモニターに「私は外の病院に行って点滴を打ちたいのですが入管は連れていってくれません」と訴える書面や、判読できないほど乱れた字で書かれた診療の申し出書が映し出され、これらを把握していたか問われると、医師はいずれも「記憶にありません」と語った。









