広島で被爆し、戦後帰国した朝鮮半島出身の被爆者が長期間援護措置を受けられなかったとして、遺族らが国に慰謝料など約330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で広島地裁は28日、全額の支払いを命じた。国側は損害賠償請求権は時効により消滅したとして請求棄却を求めたが、山口敦士裁判長は、国側が過去の在外被爆者訴訟で争った経緯を踏まえ「権利の乱用に当たり許されない」として退けた。
被爆者の援護を巡り、旧厚生省は1974年に海外在住者には健康管理手当の支給を認めないとした「402号通達」を出したが、訴訟で違法性を認める判決が出たため2003年3月に通達は廃止された。今回の訴訟で国側は、原告側が最初に提訴した23年6月までに20年以上が経過し、損害賠償請求権は消滅したと反論した。
山口裁判長は、国は03年の通達廃止後も、07年に最高裁が通達の違法性を認め国に賠償を命じるまで賠償責任を争っていたと指摘。「被爆者や原告らに損賠請求権の存在について疑念を抱かせ、行使を事実上困難にさせた」とし、権利は消滅していないと判断した。










