ロコモティブシンドローム患者向けデジタルセラピューティクスによる下肢筋力およびQOLの有意な改善を確認

2026年4月8日

フューチャー株式会社(代表取締役社長 谷口友彦、東京都品川区、以下「フューチャー」)は、公立大学法人福島県立医科大学(学長 理事長兼学長 鈴木弘行、福島県福島市)整形外科学講座(教授 松本嘉寛、以下「福島医 大整形外科学講座」)、および国家公務員共済組合連合会 浜の町病院(病院長 谷口修一、福岡県福岡市、以下「KKR 浜の町病院」)との共同研究において、スマートフォンアプリを用いたロコモティブシンドローム(運動器症候群)患者向けのデジタルセラピューティクス(DTx)(※1)による下肢筋力およびQOLの有意な改善を確認しました。本研究の成果は、2025年版のJournal Citation Reportsの老年学(Gerontology)カテゴリーにおいて、インパクトファクター世界ランク1位(※2)を獲得したオープンアクセス学術誌『JMIR Aging』に、2026年3月13日掲載されました。

 

■採択論文

Locomotive Syndrome Digital Therapeutics Provided via a Smartphone App: Proof-of-Concept Single-Group Trial Study

Tatsuru Sonobe*1, MD, PhD; Itaru Ogawa*1, MD; Takahiro Seki*1, MD; Kosuke Watanabe*1, MD; Yota Kaneko*1, MD, PhD; Takeru Yokota*1, MD, PhD; Taro Mawatari*2, MD, PhD; Satoru Harada*2, MD, PhD; Yasumichi Kadowaki*3; Youhei Takenaka*3; Yoshihiro Matsumoto*1, MD, PhD

*1 Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine, Fukushima Medical University, Fukushima, Japan

*2 Department of Orthopaedic Surgery, KKR Hamanomachi Hospital, Fukuoka, Japan

*3 Future Corporation, Tokyo, Japan

https://aging.jmir.org/2026/1/e86174

 

【研究概要】

介護や支援が必要となる主な原因である「ロコモティブシンドローム」とは、筋骨格系の疾患により運動機能や移動能力が低下した状態を指します。予防と改善には日常的な運動が推奨される一方、中高年層が自発的に運動を継続し、習慣化することは困難であり、大きな課題となっています。

 

この解決に向けて、福島医大整形外科学講座、KKR 浜の町病院、フューチャーは共同研究を実施しました。当社はロコモティブシンドロームの改善を目的としたプロトタイプ版スマートフォンアプリケーション(以下「本アプリ」)を設計・開発し、研究基盤として提供しました。本アプリは、日本整形外科学会が推奨するロコモティブシンドロームを予防するためのトレーニング「ロコトレ」に基づき、動画と音声によるガイダンスを通じて「片脚立ち」と「スクワット」の2種類のプログラム実施をサポートします。さらに、患者と担当医師間で本アプリが連携することで、医師が遠隔からトレーニングの進捗をリアルタイムに把握し、指導に活用できるモニタリング機能を実装しています。

 

40 歳以上かつGLFS-25スコア(※3)が7点以上の患者の日本人を対象に、本アプリを用いた8週間の実証実験を実施した結果、歩行能力や運動機能の向上に加え、ステージの改善が多く確認されました。また、トレーニング完了率は93%に達し、離脱者が極めて低水準に留まった事実は、デジタル技術による適切な介入が中高年層における運動習慣の定着に行動変容を促す有効な手段であることを実証しています。今回の実証試験により、本アプリを用いた非対面型の介入が、患者の運動習慣定着および身体機能向上における実行可能な治療オプションであることが示されました。

 

フューチャー株式会社 Healthcare Innovation Group ディレクター 門脇 康通


本研究の成果が論文アクセプトという形で実を結んだことを非常に嬉しく思います。本研究を主導していただいた福島医大整形外科学講座の皆様、ならびに関係各位の多大なるご尽力に深く感謝申し上げます。ロコモティブシンドロームは、超高齢社会において克服すべき大きな課題です。本研究を通じて得られた知見を糧に、今後もデジタルテクノロジーを通じて、より良い医療の提供、そして社会課題の解決に寄与できるよう、引き続き尽力して参ります。

 

フューチャー株式会社 Healthcare Innovation Group ディレクター 竹中 陽平


共に研究を進めた福島医大整形外科学講座とKKR浜の町病院の先生方、ご参加いただいた皆様に感謝いたします。ご高齢の方も使いやすいアプリの設計・開発から安全なデータ基盤構築まで熱意を持って伴走しました。被験者の方から「研究後も使いたい」と言っていただけたことは思い出深く、心に残っています。この一歩が運動習慣定着と未来の医療へ繋がると強く信じています。

 

フューチャーではHealthcare Innovation Groupを中心に、これまで培ってきた IT の知見をベースに医療・ヘルスケア分野のDXとイノベーションを推進するとともに、医療現場の業務効率化・デジタル化に取り組んでいます。プログラム医療機器(SaMD)開発においては、医療機器企業や製薬会社等と協業し高度なアプリケーションを開発しています。今後もフューチャーは、テクノロジーをコアに医療の発展と課題解決に貢献していきます。

 

※1. デジタルセラピューティクス(DTx)とは、疾患等などを予防、管理、治療するための高品質なソフトウェアプログラムによって行われるもので、エビデンスに基づく治療的介入のこと。

※2. 2025年6月発表の Journal Citation Reports(JCR)において、老年学(Gerontology)カテゴリー分野の全 36 誌中、ジャーナル・インパクトファクター(JIF)が第1位になったことを指す。

Celebrating Excellence: JMIR Publications' Strong 2025 Journal Impact Factors https://blog.jmir.org/jmir-publications-journals-achieve-stellar-impact-factor-performance-in-2025

※3. GLFS-25スコアとは、高齢者のロコモティブシンドロームを評価するための25項目老年運動機能尺度のこと。

https://locomo-joa.jp/check/judge

 

■フューチャーの医療・ヘルスケア事業について https://www.future.co.jp/architect/our_service/solution/#healthcare01

*フューチャーは医療機器製造業登録および第二種医療機器製造販売業許可を取得しています。 医療機器製造業:13BZ201433、第二種医療機器製造販売業 :13B2X10480、ISO/IEC 27001:2013、ISO13485:2016