ALL DIFFERENT株式会社
新入社員意識調査2026 卸売業・小売業編




累計20,000社470万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および「人と組織の未来創り(R)」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所(R)は、2026年3月24日~5月6日の期間で、2026年度入社の新入社員3,849人を対象に意識調査を行いました。本リリースでは、卸売業・小売業の新入社員の特徴を調査・分析した結果を公表いたします。

背景
卸売業・小売業を取り巻く環境は、地政学リスクやサプライチェーンの変化、AI技術の発達・浸透などにより、複雑性と不確実性がますます高まっています。今後、卸売業・小売業の社員には、様々な情報を取捨選択して適切な判断を下す力や、不確実な状況の中でも着実に完遂する力などがさらに求められるようになります。

そうした力を身につけ、活躍することが期待されている卸売業・小売業の新入社員は、働くことに対してどのような価値観を持っているのでしょうか。



調査結果の詳細

1. 将来会社で担いたい役割、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が3割超、8年間で初のトップ

本調査では卸売業・小売業の新入社員の特徴を探るべく、卸売業・小売業の新入社員と、卸売業・小売業を除く全業種(以下、他業種と記載)の新入社員の回答結果を比較します。まず、将来会社で担いたい役割を質問しました。

結果、2026年度の卸売業・小売業の新入社員で最も多かった回答は、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」で30.6%でした。続いて、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」が27.0%、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」が25.2%、「専門性を極め、スペシャリストとしての道を進みたい(専門職)」が16.7%でした。

他業種と比較すると、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」は8.8ポイント高く、「専門職」は14.9ポイント低くなりました(図1)。



2019年度からの回答結果と経年比較したところ、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」は4年前の2022年度から徐々に減少しており、今年は過去最低の割合でした。一方、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」と回答した人は昨年度より6.2ポイント増え、初めてトップとなりました(図2)。



2. リーダーに対するイメージ像、「成長できそう」「やりがいがありそう」などポジティブ回答の割合が他業種より高い傾向

リーダーに対してどのようなイメージ像を持っているか、質問しました。

トップは「リーダーシップが求められそう」で46.8%。次いで、「成長できそう」(39.6%)、「やりがいがありそう」(38.7%)となりました。

他業種の結果と比較すると、「成長できそう」「やりがいがありそう」などポジティブな項目の割合が他業種より高く、「難しそう」「ストレスが多そう」「大変そう、辛そう」などのネガティブ項目の割合が他業種より低くなりました(図3)。



3. 勤続意向、「できれば今の会社で働き続けたい」が約7割で、他業種より高め。働き続けたい条件は「人間関係が良い」「高い給与・賞与」が二大トップ

続いて、「今の会社で働き続けたいか」という勤続意向について質問しました。

「できれば今の会社で働き続けたい」が最多の68.5%で、「そのうち転職したい」は10.8%でした。他業種と比較すると、「できれば今の会社で働き続けたい」が2.4ポイント高く、「そのうち転職したい」は2.0ポイント低く、他業種に比べてやや勤続意向が高いことがわかりました(図4)。



さらに、どのような状況であれば、今の会社で働き続けたいか、質問しました。

結果、「職場の人間関係が良い」(68.9%)と「高い給与・賞与をもらえる」(63.1%)がともに6割を超え、二大トップでした。3位の「業績が安定している」は39.2%で、他業種より9.0ポイント高い結果となりました。

一方で、「仕事を通じて成長できる」は24.3%で、他業種より7.7ポイント低くなりました(図5)。



4. 自分の成長に必要なもの、「成功体験」「失敗体験」が6割以上。「フィードバック」「振り返り」は他業種より低め

続いて、自分が成長するために必要だと思うものについて聞きました。

トップは「仕事を通じた成功体験」で65.3%。2位は「仕事を通じた失敗体験」で、僅差の63.5%でした。「仕事を通じた失敗体験」は他業種より5.8ポイント高くなりました。一方「上司や先輩からの事後のフィードバック」(49.1%)や「振り返りの習慣」(36.5%)は、他業種よりもそれぞれ6.6ポイント、3.5ポイント低くなりました(図6)。



5. 理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる」が57.7%でトップ

自分のキャリアアップにつながる「理想の上司」をどのように捉えているのでしょうか。

結果、「間違いを指摘して正してくれる」がトップで57.7%。次いで、「具体的に手順を細かく教えてくれる」(46.4%)、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」(38.7%)が続きました(図7)。



6. 今後やりたい仕事、「楽しくてやりがいのある仕事」がトップ。「成長につながる仕事」は他業種より約9ポイント低い

さらに、今後どのような仕事をしていきたいか質問しました。

結果、「楽しくてやりがいのある仕事」が68.0%でトップとなりました。次いで、「楽しく取り組める仕事」(29.7%)、「自身の成長につながる仕事」(29.3%)が続きました。

他業種の結果と比較すると、「専門的なスキル・知識が求められる仕事」(8.6%)、「チーム一丸となって取り組む仕事」(22.1%)、「自身の成長につながる仕事」(29.3%)が低く、それぞれ12.3、10.2、8.8ポイントの差が現れました(図8)。



7. 主体的に取り組みたい行動、「自分で目標を立てて行動する」が45.0%でトップ

社会人は仕事に自ら進んで取り組む主体性が重要となるため、自ら進んで取り組みたいと思う行動について質問しました。

結果、「自分で目標を立てて行動する」が45.0%でトップでした。続いて「周囲の状況を見て、指示がなくても行動する」(42.3%)が2位、「周囲に相談しながら、自分なりの解決策を提案する」(35.1%)が3位でした。

他業種と比較したところ、「周囲の状況を見て、指示がなくても行動する」は他業種よりも9.5ポイント高い、42.3%。一方、「自分の成長のために学び続ける」は8.9ポイント低い、14.9%でした(図9)。



8. これから評価してもらいたいこと、「取り組み姿勢」が6割以上でトップ

最後に、これからどのようなことで評価されたい(認められたい)か、質問しました。

卸売業・小売業の新入社員の回答で最も多かったのは、「取り組み姿勢(努力・頑張り・素直さ)」で63.1%。2位は「成果(売上・業績・数字などの結果)」(43.7%)、3位は「自分の成長(スキルアップ・知識習得)」(37.8%)。

他業種の結果を見ると、1位は変わりませんが、2位は「自分の成長(スキルアップ・知識習得)」、3位が「成果(売上・業績・数字などの結果)」でした。卸売業・小売業の「取り組み姿勢(努力・頑張り・素直さ)」は他業種に比べて、7.1ポイント高くなりました(図10)。



まとめ
本調査から、2026年度の卸売業・小売業の新入社員のキャリア観や働く上での価値観が明らかになりました。

キャリア志向についての質問では、「キャリア未定」が3割超で最多となり、これまでトップだった「管理職志向」を上回りました。過去8年間の経年変化を見ると、「管理職志向」が減少し、「キャリア未定」が増加する傾向にあり、将来像を明確に描けない層が拡大していることがうかがえました。

一方でリーダー像については「成長できそう」「やりがいがありそう」など前向きなイメージを持つ割合が他業種より高く、またネガティブなイメージを持つ割合が低いことから、リーダーを担うことに心理的な抵抗は相対的に低いことが考察できます。

勤続意向は高く、「できれば働き続けたい」が7割弱を占めました。継続条件としては「人間関係」と「給与」がともに6割超となり、加えて「業績の安定」も重視されました。一方、「仕事を通じた成長」はやや低くなりました。

成長に必要な要素は、「成功体験」「失敗体験」をともに6割以上が重視していました。特に「失敗体験」は他業種よりも割合が高く、失敗をいとわず、実体験から学ぼうという意欲が高いことがうかがえます。一方、「フィードバック」や「振り返り」の重要度は相対的に低めでした。ただし、理想の上司像に関する質問では「間違いを指摘してくれる」「具体的に手順を細かく教えてくれる」など、指導力を求める項目が高くなり、「育ててほしい」というニーズは一定以上あると推察されます。

これからやりたい仕事としては、「楽しくやりがいのある仕事」が約7割で最も多く、専門性やチーム性、自己成長を重視する割合は他業種より低めでした。

また、取り組みたい主体的行動では「自分で目標を立てて行動する」が最多で、「自分の成長のために学び続ける姿勢」は低い傾向でした。今後評価されたい点も、「自分の成長」は他業種と比べてやや低くなりました。

以上を踏まえると、2026年度の卸売業・小売業の新入社員は、「安定志向」「実務体験を通じた学び重視」という価値観を持っていると言えるでしょう。
考察 AI時代に新入社員の成長とキャリア形成を後押しするには
本調査から、卸売業・小売業の新入社員のキャリア意識は、「管理職志向」と「キャリア未定」の二極化傾向が進んでいることがわかりました。

「管理職志向」は経年で見ると低下していましたが、他業種に比べるとやや高い割合を維持しています。リーダーに対しては「やりがいがありそう」「成長できそう」など、ポジティブな印象を持つ割合が他業種と比べて高いことがわかりました。

一方、「キャリア未定」は緩やかに増加し、今年は過去最高の割合となりました。増加の背景には、仕事理解の変化があると考えられます。従来、特に小売業ではアルバイト経験などを通じて、店長業務のイメージが比較的持ちやすく、「努力すれば店長やリーダーを目指せる」という将来像を描きやすい環境にありました。しかし近年は、DXやAIの進展により、社員やリーダーに求められる役割も変化しています。新入社員も入社前の段階で将来のキャリアを具体的に思い描くことが難しい環境になっているため、まずは実際の業務経験を積みながら、自分に合う方向性を見極めたいと考える新入社員が増えているのでしょう。

こうした新入社員のキャリア意識の変化を踏まえると、成長・キャリア形成を本人の自助努力に任せるだけでは不十分です。新入社員が業務経験を蓄積しながら、自分のキャリアを自律的に切り拓いていくためには、企業側が成長やキャリア形成を支援する仕組みを整えることがこれまで以上に重要になります。

その際に注意すべき点として、卸売業・小売業の育成が専門スキルの習得に偏りがちになる点です。卸売業であれば商品知識や商流理解、小売業であれば商品知識、接客技術、陳列や売場運営など、現場で必要となる知識・スキルの教育は体系化されている企業が多いでしょう。一方で、思考力、コミュニケーション力、関係構築力、ビジョンを描く力といった、成長・成果創出の中核となる「バイタルスキル(R)」(成長・成果に不可欠なビジネスにおける根幹スキル)は後回しにされがちです。しかし、変化の激しい時代においては、こうした中核的なスキルの育成こそが、個人の成長スピードやキャリア形成の質、ひいては組織全体の競争力を大きく左右します。

特に小売業では、比較的早い段階からチームマネジメントや後輩指導、売場責任者の役割を任されることが少なくありません。現場オペレーションを遂行できることはもちろん重要ですが、それだけではリーダーとして組織をけん引することは難しく、自ら考えて判断する力、適切に伝える力、周囲と信頼関係を築く力などが不可欠です。だからこそ、新入社員の時期からリーダーとして活躍するために必要な中核を段階的に育てる視点が欠かせません。

今後、DXやAIによって業務がさらに変化していく中で、バイタルスキル(R)が十分に育成されないまま成長すると、新入社員は自らのキャリアを描き、主体的に行動する力が不足するリスクがあります。

今回の結果で、キャリアについて「今後決めていきたい」と考える新入社員が増えていることは、変化の激しい時代だからこそ慎重に可能性を見極めようとする姿勢の表れともいえます。企業や上司に求められるのは、その状態を放置するのではなく、日々の業務経験の蓄積やフィードバックなどを通じて、将来像を少しずつ具体化できるよう支援することです。特に、卸売業・小売業において持続的に人材を育てていくためには、専門スキルの育成に加えて、バイタルスキル(R)を着実に身につけられる育成の仕組みづくりに取り組むことが重要です。



ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部
東京コンサルティング事業部 事業部長(卸小売・不動産業グループ)
大槻 泰二郎(おおつき・たいじろう)




大学卒業後は大手小売企業に入社し、店長、スーパーバイザーを経て人事部門で採用および組織開発・人材育成の責任者として従事。全社採用計画・教育計画の立案・遂行や営業部門管理職として50店舗の運営管理、30名のメンバーマネジメントなどを担う。その後、組織の成長には人の成長が不可欠であることを実感し、ALL DIFFERENTに参画。幅広い業界に対して教育計画の策定、研修の企画立案などのコンサルティングを行うとともに、管理職研修など年間80回以上登壇。

調査概要

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員調査2026(卸売業・小売業編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り(R)」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

■代表取締役社長 眞崎 大輔
■本社所在地   
〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1
有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
■支社      中部支社、関西支社
■人員数     333人(2026年4月1日時点)
■事業      
組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
■サービス    
定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援・人材紹介サービス「Biz JOURNEY」/採用支援・人材紹介サービス「Biz TALENT Bridge」ほか
■URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

\ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。/
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
中途採用 https://career.all-different.co.jp/
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