米軍の戦略原子力潜水艦ケンタッキー=2023年7月、韓国南部釜山の海軍基地(共同)

 国家安全保障戦略など安保関連3文書の年内改定で、抑止力強化の選択肢として原子力潜水艦に言及する案が政権内で浮上していることが分かった。複数の関係者が6日明らかにした。保有を前提とするような表現とはせず、研究や議論の足掛かりにする記述にとどめる可能性がある。

 歴代内閣は原子力の平和利用を定めた原子力基本法に基づき、軍事目的の利用を認めてこなかった。膨大な予算も必要となるため自民党内では保有に慎重論が根強く、曲折が予想される。

 3文書改定に向けた政府の有識者会議では、太平洋側で軍事活動を活発化させる中国に対処するため、出席者から原潜導入を求める声が上がっている。日本維新の会は提言で、水中でミサイル垂直発射装置を運用できる潜水艦の動力は原子力しかないとして、早期導入を促した。

 一方、歴代内閣は、自衛艦の推進力として原子力利用は認められないとした1965年の科学技術庁長官の見解を踏襲。石破内閣では、林芳正官房長官が「原子力基本法の現行解釈に従えば、わが国が原潜を保有することは難しい」と述べた。