特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
ネパールで始まった「人権ツリー」を全校生徒が完成。ウクライナ、シリア、ルワンダ、アウシュビッツ、杉原千畝の事例から人権を考え、次の80年へ「世界とつながる学び」Phase2が始動

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2026年10月2日、岐阜県養老町立高田中学校で開催された「創立80周年記念講演会」において、代表理事・中村雄一が「世界とつながる夢と人権」をテーマに記念講演を行いました。

高田中学校80周年記念講演会の大役を担ったなかよし学園

講演会は高田中学校体育館で13時30分から15時30分まで開催され、創立80周年という大きな節目を迎えた全校生徒、教職員、PTA、同窓会をはじめとする学校関係者が参加しました。
会場のステージを彩ったのは、満開の桜を思わせる大きな「人権ツリー」でした。そこに記されていたのは、一人ひとりの生徒が考えた家族、友人、平和、人権、大切な人へのメッセージです。
このツリーは、この日のためだけに制作された装飾ではありません。養老町からネパールへ、ネパールから高田中学校へ、そして再び世界へと学びをつなぐ、数か月にわたる国際的な人権教育の成果です。

80年の歴史を祝うだけでなく、「次の高田中学校」を考える記念講演へ
高田中学校の校章には、開校当時、学校周辺に多く自生していた「藍」の葉と実が描かれています。そこには「青は藍より出でて藍より青し=出藍の誉れ」という意味が込められ、これまでの世代から学びながら、それを超えて成長していく生徒への願いが受け継がれてきました。
創立80周年という節目に行われた今回の講演会もまた、80年間の歩みを振り返るだけではなく、「これから高田中学校は何を大切にし、どのような学校として次の時代へ進んでいくのか」を考える機会として位置づけられました。

その中心となったテーマが「人権」です。
高田中学校は2026年度、人権推進校として、人権を学校生活の中で考えるさまざまな教育活動を進めています。6月25日に行われた「人権推進校指定書交付式」には、岐阜地方法務局大垣支局、大垣人権擁護委員協議会、養老町、養老町教育委員会の関係者が参加し、指定書交付や全校道徳「アサーティブコミュニケーション」が行われました。

人権推進校指定書交付式でスピーチを行う中村雄一代表

この交付式でオンラインスピーチを行った中村は、高田中学校が大切にしてきた人権教育を学校の中だけで終わらせず、「世界へ伝える学び」にしていくことを提案しました。
それが、今回の80周年記念講演会へとつながっていきました。

高田中学校「人権推進校指定書交付式」ニュースリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000166170.html

養老町の人権教育がネパールへ。ネパールの言葉が高田中学校へ
今回の取り組みは、すでに6月から国境を越えて始まっていました。
なかよし学園は2026年6月、ネパール・ルンビニ州で教育支援活動を実施。その中で岐阜県養老町の人権教育を紹介し、Shree Bodwar Secondary Schoolでは、人権作文の読み聞かせや、家族・平和について生徒自身がメッセージを書く授業を行いました。そこから生まれたのが、桜の花びらに思いを書き込んだ「なかよし人権ツリー」です。

ネパールの生徒と作った「なかよし人権ツリー」

もともと養老町で育まれてきた人権教育がネパールへ渡り、現地の子どもたちの言葉となって日本へ帰ってくる。この往還を受け、高田中学校でも全校生徒が「人権花びら」の制作に取り組みました。
9月17日、生徒一人ひとりが家族や友達など大切な人を思い浮かべながら、自分のメッセージを花びらに記入。中にはタブレットを使って調べ、英語やネパール語でメッセージを書いた生徒もいました。
そうして生まれた高田中学校の人権ツリーが、10月2日の80周年記念講演会当日、ステージいっぱいに展示されました。

ネパール・ルンビニと養老町のコラボが実現した「なかよし人権ツリー」

「日本の学校が海外を支援する」という一方向の国際協力ではありません。養老町で生まれた学びがネパールへ行き、ネパールで生まれた言葉が養老町へ還り、その言葉を受け取った高田中学校の生徒たちが、さらに自分たちの言葉を世界へ返していく。
なかよし学園が進める「世界とつながる学び」は、この学びの循環を大切にしています。ネパールでの教育支援でも、日本で生まれた教材や学びを海外へ届け、現地での学びを再び日本へ還元する循環型の教育モデルが実践されています。

人権は「知識」ではなく、「自分ならどうするか」
記念講演で中村が生徒たちに提示したのは、人権についての「正しい答え」ではありませんでした。
最初に投げかけたのは、「人権ってなんだろう?」という問いです。
講演は「答えのない問題を一緒に考える」ことを軸に設計され、人権とは何か、平和とは何か、戦争が起こったら自分はどうするのか、戦争を止めるために何ができるのかといった問いについて、生徒たち自身が考え、周囲の人と言葉を交わしました。

講演の中で行われた「ディスカッションタイム」は、生徒たちの意見を会場の多くの人と交換する場となった

題材となったのは、教科書の中だけにある人権問題ではありません。
現在も戦争が続き、人々の日常や学ぶ権利、生きる権利そのものが脅かされているウクライナやシリア。人が人として扱われなくなった先にジェノサイドが起きたルワンダ、ホロコーストの歴史を伝えるアウシュビッツ。そして、第二次世界大戦中、多くのユダヤ人を救うため「命のビザ」を発給した杉原千畝。

リトアニア・カウナスの杉原千畝記念館

一人の命を救う者は全世界を救う。

中村雄一代表自身が世界各地で見てきた現場や、人と出会ってきた経験を通して、人権が失われるとはどういうことなのか、そして「その場に自分がいたら何ができるのか」を生徒たちに問いかけました。
9月に教育活動を行ったウクライナについては、現在の状況や、空襲警報が鳴る中でも地下シェルターで学び続ける子どもたちとの活動を紹介。
重要なのは、遠い国の悲惨な出来事を「かわいそうな話」として聞くことではありません。
世界の現実を知った上で、「では、自分の身の回りで人権侵害を見つけたとき、自分はどうするのか」と考えることです。実際に講演では、「身の回りで『人権侵害』を見つけたらどうしますか?」という問いが投げかけられました。

生徒だけではない。先生、来賓も一緒に「答えのない問題」を考える
今回の講演の特徴は、「聞く講演会」で終わらなかったことです。
会場では複数回にわたりディスカッションの時間を設定しました。生徒は近くの友人と自分の考えを伝え合うだけでなく、教職員や来賓など、世代や立場の異なる人とも意見を交わしました。

「平和ってなんだろう?」
「ケンカしたら、どうやって仲直りする?」
「戦争が起こったら、自分はどうする?」
「自分の町の歴史や文化を世界へ伝えるとしたら、何を伝える?」
「身の回りで人権侵害を見つけたら、どうする?」


正解を教えてもらうのではなく、自分で考え、言葉にし、他者の考えを聞き、もう一度自分の考えを見つめ直す。そのプロセス自体を人権学習としました。
そして講演の終盤、中村が伝えたのが、「みんなの未来に待ち受けるのは“未知”です」「誰も答えを出せない時代に必要なのは“自分で考えること”です」というメッセージでした。

人権を「覚える知識」から「自分で判断し、行動する力」へ。

80周年を迎えた高田中学校で行われた今回の講演は、まさにインプットからアウトプットへ、人権教育を次の段階へ進める時間となりました。

世界の片隅に自分たちも「平和」をつくったと実感した高田中の生徒たち

ネパールから届いた「人権のバトン」。記念盾とカタを生徒会へ
講演会では、なかよし学園がネパール・ルンビニでの教育活動を通じて市長から贈られた記念盾と、敬意や祝意を表すカタも紹介されました。
それらは中村から、高田中学校の生徒を代表する生徒会へ手渡されました。

ネパールから贈られた記念品

ネパールから贈られた記念品

ネパールから贈られた記念品

なかよし学園はネパール・ルンビニ地域で、養老町の人権教育を現地に紹介し、現地の学校や自治体関係者と教育交流を進めてきました。活動では地方自治体首長らとも面会し、日本とネパールの教育を通じた交流について協議しています。
今回の贈呈には、単に海外から記念品を持ち帰ったという以上の意味があります。
養老町からネパールへ届けられた人権教育に対する現地からの敬意と感謝を、次の学びを担う高田中学校の生徒たちへ渡す。それは「世界とつながる学び」のバトンを、次の世代へ託す場面となりました。

同窓会長・副会長からも「80周年にふさわしい講演だった」
講演終了後には、高田中学校同窓会長、副会長と中村が面会しました。
両氏からは「大変感動した」との言葉とともに、80周年を迎えた高田中学校がこれから新たな歴史をつくっていく上で、今回の内容はその節目にふさわしいものだったとの高い評価が寄せられました。
学校の歴史は、校舎や年表だけによって受け継がれるものではありません。これまで高田中学校をつくってきた卒業生、現在学校で学ぶ生徒、学校を支える教職員や保護者、地域の人々が大切にしてきた価値を、次の世代へどう渡していくか。その問いに対する一つの答えとして、今回「人権」を軸に地域と世界を結ぶ学びが実現しました。

80周年の式典に大変満足された同窓会会長・副会長

80周年はゴールではない。「世界とつながる学び」Phase2へ
今回の記念講演会をもって、高田中学校となかよし学園の取り組みは終了するわけではありません。
ここから「世界とつながる学びプロジェクト」はPhase2へ入ります。
これまでのPhase1では、養老町が長年育んできた人権教育をなかよし学園がネパールへ届け、現地の子どもたちがその学びを受けてメッセージを制作し、その言葉が高田中学校へ戻ってきました。そして高田中学校の生徒たち自身も、人権花びらに自分の思いを書き加えました。
Phase2では、高田中学校で日々行われている授業、学校行事、生徒会活動、地域学習、人権教育など、「高田中学校だからこそ生まれている学び」をなかよし学園が世界の教育現場へつないでいきます。

なかよし学園の「世界とつながる学び」プロジェクト

「世界について学ぶ学校」から、「自分たちの学びを世界へ届ける学校」へ。
高田中学校で生まれたアイデアや教材、生徒たちの言葉が、なかよし学園を通じて海外の学校へ届けられ、そこで新しい学びを生み、その反応が再び養老町へ還ってくる。そうした教育の循環をつくっていきます。
高田中学校の80周年は、80年間の歴史を振り返る節目であると同時に、養老町の教育が世界と直接つながっていく新しい歴史のスタートになります。

高田中学校に設置された「夢と人権」の花壇

なかよし学園プロジェクト代表・中村雄一 コメント
高田中学校の80周年という大切な日に、生徒の皆さん、先生方、保護者や地域、同窓会の皆様と一緒に『人権とは何か』を考えることができたことを、本当にうれしく思います。
6月に高田中学校の皆さんと出会った時、僕は『養老町の人権教育を世界に届けよう』と話しました。それが言葉だけではなく、本当にネパールへ届き、ネパールの子どもたちの言葉となって日本へ戻り、今度は高田中学校の皆さんが一人ひとりの思いを書いてくれました。体育館に並んだ人権ツリーを見た時、この数か月で確かに世界と高田中学校がつながったのだと感じました。
人権や平和には、誰かが用意してくれた一つの正解があるわけではありません。世界の現実を知り、自分で考え、誰かと話し、自分には何ができるのかを考える。その積み重ねが、人を大切にする社会をつくるのだと思います。
80年という歴史をつくってきた先輩たちからバトンを受け取った今の高田中学校の皆さんが、次は自分たちの学びを世界へ届けてほしい。これから始まるPhase2では、高田中学校で生まれる学びを、僕たちが責任を持って世界へ運びます。
高田中学校から世界へ。そして世界から、また高田中学校へ。次の80年につながる教育を、これから一緒につくっていきたいと思います。」

名古屋市にある杉原千畝記念公園にて

高田中学校創立80周年記念講演会 開催概要
日時:2026年10月2日(金)13:30~15:30
会場:岐阜県養老町立高田中学校 体育館
演題:「世界とつながる夢と人権」
講師:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト 代表理事 中村雄一
記念事業では今回の記念講演会のほか、記念誌の制作、航空写真の記録、学校マスコットキャラクターの考案なども実施されています。

なかよし学園プロジェクトについて
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、教育を通じて世界の平和をつくることを目的に、日本の学校・自治体・企業・団体と、海外の教育現場をつなぐ活動を行っています。日本で生まれた教材や学びを海外へ届け、現地で生まれた学びやメッセージを再び日本へ還す循環型教育モデル「CoRe Loop」を軸に、探究教育、平和教育、人権教育、防災教育、WASH・保健衛生教育などを展開しています。
今回の高田中学校との取り組みも、「地域で生まれた教育を世界へ届け、世界で生まれた学びを地域へ還す」という循環を、学校教育の中で実践するものです。

本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
写真素材・取材対応が可能です。
掲載時の写真クレジット:(C)なかよし学園プロジェクト
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