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回覧板は大丈夫?「多くの人が触れ不安」一部自治体中止



回覧板の中止を知らせる自治会の文書
回覧板の中止を知らせる自治会の文書

◆「大事な情報源」継続も

 「回覧板は大丈夫なのでしょうか」。新型コロナウイルスの感染が広がる中、住民間で手渡す回覧板にも接触感染の恐れがあるのではという不安の声が、無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる「岐阜新聞 あなた発!トクダネ取材班」に寄せられた。同様の相談が行政にも寄せられ、当面の間の中止を発表する自治体が全国各地で出始めた。岐阜県内でも、広報誌のみを各戸にポスティングするといった方法に切り替える動きがみられるが、回覧板は本当に感染リスクがあるのだろうか。

 地域活動の告知など配布物を台紙に挟み、班の中で伝達する回覧板。市町村が自治会に委託したり、自治会の中で文書を回し読みしたりする。取材班に声を寄せた各務原市の50代パート女性は「いろいろな人が触るので、ウイルスを持ち込んでしまうのでは」と懸念した。台紙やケースに消毒用アルコール液を吹きかけ、表面を拭いて次の人に回した。

 福井市では3月以降、不安視する電話が相次ぎ、今月下旬、中止に踏み切った。市の担当者は「市民に対する周知の大事な手段だったが、少しでもリスクを抑えられるならと、やむを得ない判断だった」と明かした。山形県南陽市、山梨県上野原市など、今月に入りホームページ上で中止の旨を掲出する自治体が相次いでいる。

 岐阜県内では対応が分かれている。各務原市でも担当課への相談が複数寄せられ、5月以降は自治会に手渡していた回覧文書を出さず、広報誌のみポスティングすることに決めた。担当者は「広報誌の内容を拡充し、回覧がなくなる分を補っていく」と話した。

 一方「大事な情報源になっている人もいる。中止にはできない」と話すのは岐阜市の担当課職員。同様の相談を数件受けたといい、表紙に「閲覧の際は手洗いを」と案内文を貼って回す自治会もあるという。

 「不特定多数の人が触れるという点で確かに回覧板はきれいとは言えない」と指摘するのは、県新型コロナウイルス感染症対策調整本部座長を務める、村上啓雄岐阜大医学部付属地域医療医学センター長。ウイルスは何かの表面に付着すると3~4日残存するとされる。ただ「仮にウイルスが検出されても、それが人に感染させる力も同じ期間保たれるかは実は確かめられていない」のだという。

 多数の人が触れ、ウイルスが付着している可能性があるという点では、「スーパーの買い物かごやドアノブだって汚い」と村上センター長。「触ったら手を洗う。これで感染リスクはゼロに近づけられる」と語り、外出時のマスク着用と併せて手洗いの励行を呼び掛けた。

 一方、群馬県玉村町では回覧板の中止と併せて、ホームページやメールマガジンを「今まで以上に活用する」とした。河野公洋岐阜聖徳大学地域・社会連携センター長は「回覧板が回る自治会の加入率が年々、低下している。コロナが落ち着いたら元通りではなく、この機に誰もが情報を得られる仕組みを築いていく必要がある」と話した。

カテゴリ: くらし・文化 新型コロナウイルス 社会