高山市滝町で樹齢100年を超えるスギを切り倒す面家一男さんを撮った、映画「木樵」の一場面(宮﨑さん提供)
監督を務めた宮﨑政記さん=岐阜新聞・岐阜放送ひだ高山総局

 岐阜県下呂市小坂町出身の映画監督・宮﨑政記さん(70)=東京都=が、高山市のきこりの兄弟に密着したドキュメンタリー映画「木樵(きこり)」が完成し、11月に同市内で上映される。宮﨑さんは「兄弟の人間としての豊かさや山が持つ壮大な力など、何か一つでも見る人が感じ取ってくれたら」と話す。

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 宮﨑さんは1976年からフリーの映像作家として活躍。代表作に高山市高根町で暮らす高齢者を写したドキュメンタリー「ここに居(お)るさ」などがある。

 映画は、およそ50年間きこりの仕事で生計を立てている高山市滝町の面家一男さん(70)と弟の瀧根清司さん(67)=いずれも撮影当時=が主人公。2人とその家族、弟子たちの日常を1年にわたり追い掛けた。

 「飛騨地域は面積の9割が山林。生活と山を切り離すことはできない」と話す宮﨑さん自身も、きこりだった父親の背中を見て育った。中学卒業後、林業科のある高校へ入学。進路を変え18歳で上京するまで「山で育ったと言っても過言ではない」。撮影中も、木を切る兄弟の背中に「ああ、おやじがいる」と父親が重なった。宮﨑さんは「飛騨で育った自分と同年代の多くの人が、同じことを感じるのでは」と語る。

 宮﨑さんは「この映画は林業の現状を訴えるために撮ったのではない」と強調する。林業の最盛期にきこりになり、状況が厳しくなるばかりの中で仕事を続ける兄弟は「確かに経済的に苦しい時もあったかもしれない」。それでも彼らと過ごして感じたのは、「とても豊かな人生を過ごしているということ。見た人にもそれが伝われば」と願う。

 劇場版(全国公開版)は再編集し、来年10月に公開される予定。