岐阜新聞Web

  • 美濃
  • 飛騨
  • 美濃
  • 飛騨


ツチノコ目撃情報!謎のメモ解読&現場に急行、正体は?



「ツチノコの死骸を見た人がいる」―。

 岐阜新聞社に1本の電話がかかってきたのは、9月下旬のこと。ツチノコといえば、全国で一大ブームを巻き起こし、今も語り継がれる幻の生物、いわゆるUMA(未確認生物)だ。

20211009085656-f15747aa.jpg

「つちのこ館」で展示されているツチノコの模型。一般的なイメージ=加茂郡東白川村

 「ツチノコなんているわけないだろ!」と一蹴できなかったのには理由がある。それは電話をかけてきた相手が、岐阜県東白川村にある「つちのこ館」の館長だったからだ。

日本有数のツチノコ村

 東白川村といえば、ツチノコ好きの間では知らない人がいないほど目撃情報の多い村。コロナ禍になる前は毎年、ツチノコを捜索するイベントを開き、村民の倍以上の人が訪れて珍獣を追った。村内にはツチノコを祭る槌の子(つちのこ)神社もあり、まさにツチノコの「聖地」だ。

20211009090212-5daa58bc.jpg

ツチノコが祭られている槌の子神社=加茂郡東白川村

 つちのこ館とは、そんな聖地にある日本で唯一のツチノコ資料館。古今東西のツチノコ関連のデータや資料が並ぶほか、館内には、入らずにはいられない「つちのこ体験室」なる謎の小部屋もある。控えめに言って、必見だ。

 そんなつちのこ館館長の言葉である。これは信ぴょう性が高い。館長によると、岐阜県西部にある大野町の老夫婦が、9月中旬に地元で見たことがない形の蛇の死骸を発見したという。ジョギング中だったため写真を撮ることができなかったが、あまりにも正体が気になったため、車で3時間近くかけて、つちのこ館を訪ねたというわけだ。

20211009090319-468267d0.jpg

魅惑の響き「つちのこ体験室」。この先では一体何が体験できるのだろうか=加茂郡東白川村、つちのこ館

 写真がないとは、UMA目撃談のお約束のようだが、話だけでも聞いてみようか。そう思ったが、老夫婦は連絡先を伝えることなくすでに立ち去ったという。2枚のメモを残して。

残された謎のメモ

 早速、老夫婦が残したメモのデータを取り寄せた。夫が目撃直後に書き残したというメモには、当時の驚きとともに詳細なツチノコ(らしき死骸)のデータが記されていた。全長は45~50センチ、胴体が太く、幅4・5センチ~5センチほどあったという。くっつけたような細長い尻尾は15センチほど。頭が三角形で、体の色は黄褐色、背中に「模様があった?」とある。

20211009090450-9964044f.jpg

老夫婦が記したツチノコ。残念ながら写真はない

 「今まで見てきたものとは全然違った」。幻の生物と出合った驚きと興奮が率直な言葉で記され、メモの最後には「今回の蛇の話をしても信じる人居る?」との言葉。老夫婦のショックの大きさが伝わってくるようだ。

 館長は「写真がないのが残念でならない。目撃情報は最近では少なく、5年ほど前に宅配便のドライバーが見たと言っていたのが最後。新しい情報があると、『まだ生きているのか』とうれしくなる」と話す。

いざ目撃現場へ

 電話を受けてすぐ、車で目撃情報のあった大野町へ向かった。しかし、老夫婦の地図は至ってシンプル。県道、町道、川、農機具小屋くらいしか記載がない。濃尾平野の北西端に位置する大野町は人口2万人ほど。決して広い町域ではないが、ヒントがなさすぎる。

20211009090554-443d7e02.jpg

目撃場所の地図。歴史的大発見を夢見て大捜索が始まる

 そこで頼ったのは町役場。道路に詳しそうな建設課を訪ねた。40を超えたおじさんが「ツチノコが...」と切り出しては、まともに取り合ってもらえないかもしれない。地図を見せて「この場所を探している」とだけ伝えた。職員さんは詳細な町の地図をめくり、記憶と突き合わせながら道路や川の位置関係が似た場所を熱心に探してくれた。とても、優しかった。

発見できたのは職員さんのおかげ

 「この辺りかもしれません」。職員さんが示してくれた場所をメモし、お礼を言って役場を離れた。現場に着き、地図と照らし合わせて確信する。「ここだ」

20211009090714-c2cbb7a7.jpg

草むらのどこかに潜んでいるかもしれない=揖斐郡大野町

 半信半疑ながら、胸が高鳴る。なにせ相手は日本を代表するUMAだ。どこにいるのか知らないけれど、誰もがみんな知っている。目撃情報は死骸だが、近くに生きた別の個体がいるかも。捕獲すれば大変な騒ぎになるだろう。こんなことなら美容室に行っておけば良かった。ともかく周囲の草むらに目を凝らす。

捜索の果てに

 探すこと数十分。目撃情報のあった死骸は見当たらない。地図には大まかな場所しか記されていないため、一帯をうろうろと歩き回ったが、出合ったのはカエルだけ。リーリーと虫の音が秋の訪れを告げている。日も暮れてきた。「おなかすいたな...」

20211009090826-290593b0.jpg

ツチノコに似ているため驚いたが、カエルだった=揖斐郡大野町

 もう帰ろう。そう思った瞬間だった。

歴史的発見!?

 視界の端に、何かが見えた。よく見ると、地面に張り付いた細長い皮と骨。

 「うわっ」。思わず声が出た。

20211009090923-add07819.jpg

発見した謎の死骸=揖斐郡大野町

 それまでに何度か目に入っていたはずの場所だが、不思議なことに気付かなかった。よく見れば周囲には小さな骨が散乱している。情報通りなら死後5日ほど経過しているはずで、なるほど骨と皮しかない。

 「これが、ツチノコ...なのか...」

 胴体らしき皮はやや大きいようにも見える。しかし骨の大きさを見るに、普通の蛇の死骸にも思える。いずれにせよ骨と皮だけで、はっきりしたことは分からない。分かっているのは、老夫婦が死骸を見て「ツチノコではないか」と驚き、時間と手間をかけて人に伝え、それらしき死骸が情報通りの場所で見つかったということだけだ。

20211009091051-f2406270.jpg

合掌

ツチノコを見たら東白川村へ

 ツチノコを目撃したら、捕まえたら、死骸を見たら...。慌てることはない。岐阜県に「つちのこ館」があるのだから。とはいえ、備えあれば憂いなし。まずはつちのこ館に行って、ツチノコを「体験」することをお勧めしたい。

20211009091200-3aaee24a.jpg

20211009091215-0ff399bb.jpg

東白川村の名物「つちのこ焼き」

カテゴリ: おでかけ くらし・文化 エンタメ 動画 社会 科学