岐阜新聞Web

  • 美濃
  • 飛騨
  • 美濃
  • 飛騨


50年響く「ガチャン」 毛織物産地「尾州」のションヘル織機



 創業以来、50年間働き続けているションヘル織機(しょっき)。のこぎり型屋根の工場で、ガチャンガチャンとけたたましい音を立てる。潤滑油で黒光りする金具。擦れた繊維が白く積もる。

 岐阜県羽島市や尾張地方に広がる毛織物産地「尾州」を支えてきた。手織りに近い風合い、太さや素材の異なる糸でも複雑な柄を織れる懐の広さが売り。効率重視の高速織機とは一線を画す。

 「覚えれば、誰でも使える」。羽島市福寿町で機屋を営む井上金一さん(77)は謙虚に語る。ただ、この織機で、熟練の井上さんにしか織れないものがある。「ややこしい注文も多くてね...」と浮かべる笑みには、自負ものぞかせる。

 織機は既に製造を中止。廃業した機屋から部品を調達し、自ら修理する。「まだまだ使い続けないといけないから」。いとおしむように相棒に手を添えた。

◆memo

 明治期から昭和初期ごろまで主流で使われていたシャトル式織機。ドイツ製の織機を基に製造された。横糸を巻いたシャトルを打ち出し、縦糸の間を往復させて布を織る。低速ながら繊維への負荷が少ないため、肌触りがいい高品質な毛織物を生産できる。

カテゴリ: くらし・文化 動画