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富有柿6万個、渋柿7千個...相次ぐ柿の窃盗に警戒 農家「慣れた人物の犯行」



畑で柿が盗まれる被害に遭った農家の男性=岐阜市内
畑で柿が盗まれる被害に遭った農家の男性=岐阜市内

 岐阜県内で柿の窃盗被害が相次いでいる。先月、岐阜市で富有柿約6万個が盗まれたほか、今月3日には山県市で干し柿用の渋柿が約7千個盗まれたことが分かった。被害に遭った農家の一人は「一生懸命、育ててきたのにこれでは損をするだけ」と悔しがる。農産物の盗難被害は柿以外でも発生。防犯カメラを設置するなど対策に乗り出す農家もいるが、費用などがネックとなってごく一部にとどまる。県警は管内を巡回するなど警戒を強化している。

◆総出荷数の半分を失う

 約6万個の柿を盗まれた岐阜市の男性(63)は3代続く柿農家で、家族と共に専業で富有柿を栽培してきた。「これまではイノシシ(の食害)にさえ気を付けていればよかった」と男性は話す。イノシシによる被害は3年ほど前から目立ち始め、市の補助金を使いながら防護柵など鳥獣被害対策を実施してきた。

 だが、今回の被害は様相が違った。「イノシシの仕業じゃない。果樹の収穫をしたことがある手慣れた人間の仕業だ」。枝にははさみで切り取られたような跡があった。11月初めの出荷を見込んで世話を続けていた富有柿が、400本の木から一挙に盗まれた。男性は例年8万~10万個を出荷しており、総出荷数の半数以上を失った形だ。この後、岐阜市の別の農家でも富有柿600個が盗まれる被害があった。

 農産物の盗難被害は柿に限ったことではない。中津川市では8月に収穫間近の桃1200キロが盗まれた。大垣署は5月、大垣市で果実や野菜の盗難被害を防止しようと、市内の畑に警告看板を設置した。

◆カメラ設置 自費で監視

 畑の周囲に自費で防犯カメラを設置した農家もいる。岐阜市に住む兼業農家の男性(82)はウメやキウイなどの盗難被害を受けたのを機に今年、防犯カメラと対人用の鉄線も取り付けた。「あるのとないのでは全然違う」と効果の高さを口にする。畑の規模が小さく電気工事も自ら行ったためカメラの設置費用は5万円で済んだが、畑の広さに応じ設置箇所が増えるとコストも増す。「丹精込めて育てた作物がなくなってしまうのは本当に悲しい。近隣農家や周辺住民と協力して地域全体で監視するのが現実的ではないか」と話す。

 県内の農産物の盗難被害の全体像は不明だ。県農産園芸課は「警察に被害届が出されなければ、把握できない」と語る。JAぎふも加盟農家以外の被害状況はまとめていないという。県警は被害農家を訪れ、実態を探るとともに、各署管内にある盗難リスクのある畑などを分析し、パトロールを行っていく方針。柿の窃盗被害に遭った岐阜市の男性は「今は収穫できるものを採って、前を向くしかない。なんとしても犯人を見つけてほしい」と願った。

カテゴリ: 社会