手作りのパンフレットを手渡し観光客に淡墨桜の魅力を紹介する生徒たち=本巣市根尾板所、淡墨公園
淡墨桜の前で伝統のオカリナの演奏を披露する生徒たち=同

オカリナ演奏文化も継承

 本巣市根尾神所の根尾中学校では、全校生徒が地域のシンボルである淡墨桜を観光案内し、伝統のオカリナの音色で観光客をもてなす桜ガイドの活動を長年継続している。樹齢1500年ともいわれる国指定天然記念物の大樹に象徴される自然豊かな地域で、生徒たちは地元愛を育んでいる。

 生徒たちは総合学習の時間で、生まれ育った根尾地域の文化や歴史、産業などを年間を通じて学んでいる。1~3年生が一緒に学び、特に3月は「桜学習」の期間に位置付け、地域の人たちから淡墨桜の特徴などについて直接話を聞き、調査を進めている。例年満開を迎える4月には現地に赴き、観光案内役として学びの集大成を披露している。

 「淡墨桜の起源には諸説ありますが、現在は継体天皇が植えたとされる説が有力です」。今月上旬、淡墨桜のある同市根尾板所の淡墨公園では、1~3年生13人が縦割りで6班に分かれて観光客をもてなし、淡墨桜の歴史や保護活動に関わる地域の人たちの思いを解説した。

 A4用紙の裏表に桜の魅力をびっしりと詰め込んだ手作りのパンフレットを用意し、熱心に耳を傾ける観光客の質問にも一つ一つ丁寧に答えていた。学びを深めた生徒たちのガイドには自信があふれ、何より地域のことを知ってもらう喜びの笑顔にあふれていた。

 一通り、説明が終わると「話を聞いてくれたお礼に」と、独自の文化として継承するオカリナで「さくらさくら」などを演奏。澄んだ音色は一帯に響き渡り、自然と調和のとれた演奏が観光客の感動を呼んでいた。

 オカリナ活動は1993年度から、桜ガイドは2002年度から続く学校独自の文化として、すっかり定着している。総合学習の成果は、郷土に対する誇りと愛着を育む教育を実践した学校を顕彰する県教育委員会の「県ふるさと教育表彰」で何度も優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けている。

 文化委員会委員長で3年の林空良さん(14)は「オカリナは今では体の一部のように自然なもの。桜ガイドの活動と共に、今後もこうした文化を大切にし、後輩に託していきたい」と話す。

 若曽根隆彦校長は「オカリナも桜ガイドの活動も生徒たちにとって大きな誇り。ガイドや演奏を通し、地域の人や観光客の皆さんとコミュニケーションを取り、人と人の絆の大切さも実感してくれている」と話す。