プログラミングに挑戦する児童ら=2017年12月、岐阜市加納大手町、岐阜大付属小学校
英国高校生とインターネット電話で討論する生徒たち=2017年11月28日、同

 昨年あたりから、教育界の動きも随分とざわついて、この1年の展開が読みづらくなり始めました。情報量に振り回され、整理できなくなっているだけならいいのですが、そうでもないようです。

 昨年ざわついていた教育界の出来事を、3月ごろから時系列で並べてみましょう。なぜ、3月か。次の学習指導要領に向けた解説が、文部科学省より告示され、次の10年が見えたといってもいいでしょう。想定内ではありましたが、全貌が見えてみると、これからの10年間の教育の姿と、その頂は、結構高く感じます。関係者以外にはわかりづらいのですが、実は小学校の新学習指導要領完全実施を皮切りに子どもたちの教育はこれから徐々に変化します。その予兆は既に始まっており、3月以降も次々ざわつく出来事は起こりました。

 二つ目は、夏に姿を見せました。抽象ではなく、具体的に教育システムに変化を求める動きが起きました。大学(教育学部)と付属学校に対して、有識者会議という所から注文がつけられたのです。その他に、入試制度も変化します。教育の無償化も急にいろいろ動き始めています。概要はいろいろと語られていますが、要は教育を語るうえで、今後は良くも悪くも、これまで通りという言葉が通用しなくなりそうです。

 背景には、世界対応、少子化、学校教師の年齢構成、それに伴う教師の需要、教育学部の在り方など、教育システム全体への厳しい予測と論調があります。子どもの減少は事実ですが、大学教育や教師の採用などまで本当に教育が変わるならば、教育の方向のベクトルがどこに向いているのか見極めないと、子どもたちに迷惑をかけそうです。

 三つ目は、秋以降に見たいくつかの授業の変化です。インターネットが教室に持ち込まれて約20年。昨年、ついにそのネット回線を使い、イギリスの高校生と岐阜の中学生がスクリーンで対面し、一つのテーマで議論するという授業が行われました。中学生の北朝鮮問題への意見に、イギリスの高校から鋭い反論。「拉致された人がいるっていうけど、それは本当にあったことなの」「実際に日本に帰ってきた人もいるから」中学生の必死の切り返しも、根拠は、それは本当なの、本当だとすると私もあなたの意見に同意するけど、という展開。価値観の違う者同士、わかり合うには安直な受け入れではなく、議論し、互いに納得し合う大切さを感じている若者の姿を見ると、授業にも新しい風が吹いていると感じました。

 ICT(情報通信技術)利用だけでなく、小学校英語も、もう止まりません。かつての中学校英語授業の内容を5年生が楽しい会話の中で習得しています。そして、ついに小中学校の教材にロボットも登場しました。「これくらいのデータにしておけば、ロボットはラインの中で止まるよ。成功した友達にも聞いてプログラムを書き換えよう」。この先の授業は、どこまで新しい風が吹くのでしょうか。

 2020年度から始まる新学習指導要領は、時代に合った開かれた教育課程を目指しています。子どもの学び、保護者の意識、教師の意識、学校という既成の枠組み。

 今年も、新聞を読んで情報を整理し、新しい教育に対応できる1年としたいものです。