5月に岐阜県内で出版された小説の再版に挑むクラウドファンディング(CF)が、今月始まった。作者は昨年4月に22歳で亡くなった郡上市大和町徳永の畑中駒子さん。生前、インターネットブログにつづっていた物語を父親が見つけ、一周忌に合わせて書籍化していた。8月17日まで。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」遺作の題名は「異界転生ルキノ」で、初版本はA5判80ページ。日常に生きづらさを感じる主人公が異世界の魔法少年に生まれ変わり、別の人生を歩む。表紙は駒子さんが描いた主人公のイラストで飾った。
告別式を終えて間もない頃、父薫さん(54)の交流サイト(SNS)上に、駒子さんのアカウントが偶然表示された。過去の投稿をさかのぼると、インターネットブログに書きためていた小説が見つかった。
駒子さんには注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の発達障害があった。自宅では薫さんの問い掛けに簡単な単語を一言返すくらい。ブログにつづられた語彙(ごい)力に富んだ文章に触れた薫さんは「頭の中にはこんな世界が広がっていたのか」と心底驚いた。
小説では登場人物の心情も細かく描かれた。普段の駒子さんの様子からは想像ができなかった。「コミュニケーションが苦手なだけで、相手の気持ちをきちんと理解していたんだね」
初版本は薫さんの幼なじみで、関市のデザイン事務所「ロフロデザイン」を営む高垣良平さん(53)が手掛けた。表紙には駒子さんが独学で描いたイラストを使い、その他の登場人物の挿絵や装丁を担った。
書籍化には思わぬ反響があった。発行した30冊はあっという間になくなり、発達障害のある子を持つ親から「励まされた」と声をかけられたこともあった。
CFの目標は80万円。新たに見つかった駒子さんのイラスト約20点を追加し、300冊の再版を目指す。薫さんと高垣さんは「同じ境遇を抱える一人でも多くの人に届けば」と思いを語る。支援はCFサイト「READYFOR」から。





