「人間とは何か分からないからこそ、人間の顔を描くのかもしれない」と話す北村武志さん=揖斐郡池田町草深、極小美術館
仕掛けを動かす長谷川清さん。「伝えたいのは、輝く未来はきっとある、ということ」=揖斐郡池田町草深、極小美術館

 岐阜県揖斐郡池田町の極小美術館で、画家北村武志さん(58)=多治見市=と美術家長谷川清さん(44)=名古屋市=の個展が開かれている。美術教諭を務める2人、ともに「輝く未来がきっとある」という思いが作品の根底にある。2展とも8月7日まで。

◆鮮やかな肖像画11対

 北村さんは肖像画11対、計22点を並べた。髪の赤、服の紺色は同じだが、髪型や服のデザインはそれぞれ異なる。目を見開き、瞳の虹彩は金色に輝く。何か言いたげに開いた口。笑顔にもうつろにも見えるが、強い意思が漂う。

 人物を縁取る群青色の線のみ岩絵の具で、他は油彩、チューブから出したそのままの色を用いた。鮮やかな発色がフィットしたというが、実は隠しメッセージがある。「赤色に使われるカドミウムには毒性がある。あらゆる世界には裏の面、毒がある、ということ」と、含み笑いを浮かべる。

 中学の美術教諭を務め36年。時代は変われど生徒たちの無垢(むく)な姿は変わらず、彼らに生かされていると感じることが多い。生徒たちを見てきて、顔から何かを見いだそうと、2010年から手がける「Face」シリーズ。今回は背景をアルミ箔(はく)で統一した。「金属質の光が、黒より明るく、白より輝く。こんな時代だからこそ、おどろおどろしさよりもポジティブ、ハッピーに」と語った。

◆平面や立体で「無限」

 長谷川さんは平面や立体を組み合わせ、「森や海の冒険」と「子どもの頃になくした絵の具セットのありか」という二つのストーリーが交錯する世界を表現した。最終的にたどり着くのは、「maxim」(最大限)の看板を掲げたラーメン屋の屋台だ。

 漫画風のイラストや磁力で浮かぶエビフライの模型など、雑多な要素を積み重ね、その先にある「無限」の追求を試みた。人生の岐路では一つの道しか選べないが、どちらを選んでも自分であることに変わりないという思い。「特別支援学校の教員をしていて、生徒たちに希望を持って明日に向かってほしいと強く感じる」

 屋台に仕掛けられたハンドルを回すと、万華鏡が連動。「進むことを諦めずに続けていれば、どこかで花が咲く」。自身が子どもだった頃は、根拠はなくとも未来は輝いて見えた。「今は情報過多で、暗いニュースに接することも多く、未来観が全然違う。もっと気楽に考えていい、と伝えたい」

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 鑑賞は来館前に要予約。同美術館、携帯電話090(5853)3766。