鵜飼観覧船を専門に造る岐阜市鵜飼観覧船造船所(同市)が、鵜飼で鵜匠が乗り込む「鵜舟」を初めて造った。製法が特殊な鵜舟を造れる船大工は、現在県内に2人のみ。市は昨年4月、2人の造船技術を次世代に伝えようと、観覧船造船所での鵜舟新造に乗り出した。15日に報道陣に披露され、造船所の船大工・神山(こうやま)聡さん(46)は「観覧船とは道具も材料も全く違ったが、何とか造り上げることができた。さらに精度の高い鵜舟を造れるようになりたい」と完成を喜んだ。

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 1300年以上の歴史を誇る長良川鵜飼に欠かせない鵜舟だが、県内で造れるのは、那須清一さん(89)=美濃市=と、那須さんの弟子の田尻浩さん(60)=郡上市=のみ。職人の高齢化に加えて需要の減少も進み、生産体制の維持が危ぶまれている。長良川鵜飼の杉山雅彦鵜匠代表(60)によると、鵜匠が所有する6隻も老朽化が目立つが「造る人が少なく、修理もままならない状態」という。

 神山さんら造船所の4人は、観覧船の新造と並行して、昨年12月から鵜舟1隻の製造を開始。水に強くて軽いコウヤマキの板材64枚や船体の部位ごとに使い分ける舟くぎ約千本を調達し、那須さんと田尻さんの指導を受けながら、約4カ月かけて全長約13メートル、最大幅約1メートルの鵜舟を完成させた。製造費は約200万円で、一部に県清流の国ぎふ推進補助金を活用した。

 神山さんによると、丈夫さと安定性が求められる観覧船と違い、鵜舟は軽量さと機動性が重要。造船のための図面はなく、船大工の間で口承で技術が受け継がれてきたという。神山さんは「板の厚さやくぎの太さも全く違う。技術者として初めてのことばかりだった」と振り返る。

 造船所に通って指導を続けた田尻さんは「神山さんらにとっては初めての鵜舟だったが、立派にできた」とねぎらい、「今後も協力は惜しまないので、鵜匠に気に入ってもらえる舟が造れるようになれば」とエールを送った。杉山鵜匠代表も「鵜飼の象徴でもある鵜舟の製造技術が後進に継承された」と喜んだ。

 完成した鵜舟は、水害などで現在の鵜舟が使えなくなった場合の予備として保管する。一般公開は18日の午前10時~正午と午後1~3時で、今年進水予定の鵜飼観覧船と一緒に見学できる。鵜舟と鵜飼観覧船の違いを紹介したパネルや造船道具の展示、田尻さんらによる造船技術の説明やくぎ打ちの実演もある。事前申し込みは不要。