岐阜市立中学校3年の男子生徒が2019年7月にいじめを苦に自殺した問題を受け、市は再発防止策の構築を進めてきた。7月で発生から2年。問題から得た教訓をどう生かし、実践していくのか。新年度を迎えた教育現場の取り組みを追った。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」岐阜市は2020年度から、市立学校全70校に担当教員「いじめ対策監」を設置した。いじめ対策に専念するため授業を受け持たず、生徒指導主事らが兼務するケースが多い。ただ現場からは、「生徒との関わりが希薄で深い話が聞けるような信頼関係を築きにくい」と戸惑う声もあり、現場主導でより良い対策監の在り方を探る動きも出ている。
「先生、ちょっといいですか」。同市芥見の藍川中学校で今月16日、給食配膳中に各教室を巡回していたいじめ対策監・永井隆史教諭(39)は、各学年の担任らから頻繁に声を掛けられた。朝夕の報告にとどめず、午前中にあったことを昼の給食中に伝え、きめ細かく情報共有を図るためだ。ある学年主任からは前日の生徒間トラブルの経過報告を受け、担任を交えて対応を協議。教室で当事者の生徒の表情や行動を観察し、トイレでもスリッパをそろえながら少し離れて生徒を見守った。「ここまでする意味が伝わるまでは、生徒から嫌がられましたね」と苦笑する。
第三者組織の市教育委員会いじめ問題対策委員会の調査報告書によると、認定されたいじめ事実は休み時間や給食中、部活動中に集中していた。そのため「給食中は必ず担任が教室にいて、学年主任といじめ対策監がトイレを巡回」「生活ノートで気になる内容は、当日の午前中に情報共有する」など、早期発見への具体的な取り組みを徹底してきた。
コロナ下においても、いじめ問題を考える授業は優先して実施し、校内でいじめを見過ごさない雰囲気を醸成してきた。「重大事態」が発生した19年度に19件だったいじめ認知件数は20年度、6件に減少した。
成果を実感する一方、永井教諭はいじめ対策監の在り方について「常に問い直す必要がある」と指摘する。市教委の指示に沿い、20年度当初は校内巡回のみを行っていた。しかし「生徒を理解できないばかりか、自分を知ってもらえない。見回るだけでは信頼関係を深められない」と考え、昨年10月から専門教科である英語の授業を受け持つようにした。
相談を受けた折戸靖仁校長(58)は「対策監一人で目を光らせても察知できない。日々の授業を通じて全ての教員が生徒の変化をつかむことが大切」と話す。いじめの被害、加害いずれも経験したという2年の男子生徒は、永井教諭について「探さなくてもいつも同じ場所にいて、『クラスどうや?』とか、『今度は仲間を助けてあげてな』とか言ってくれる。先生は必ず動いてくれると安心して相談できる」と信頼を寄せる。
「マニュアルも正解もない中で、再発防止策の質や深まりを求められるプレッシャーは大きい」と永井教諭。2年目の深化へ向け、気持ちを引き締めている。










