岐阜市が教育施策を示した「市教育大綱」では、全ての子が自らの選択と行動によって幸せな未来をつくり出す力を育むため「心身とも安全で安心な教育環境を提供する」とある。これを具現化するため、一般的な「班編成」という各学級の"当たり前"から見直す動きが生まれている。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「特定の人だけが仲間・人を選んで班をつくることをしません」。今月8日、岐阜中央中(同市京町)の上松英隆校長(58)は校内放送で、全校生徒に語り掛けた。同校では2019年7月の「重大事態」を受け、20年度から固定の班や班長を廃止。不慣れな新入生に考え方を示し、2、3年生にも改めて伝えた。
県内の多くの小中学校では、学級を4、5人ほどのグループに分ける「生活班」を年度初めや学期ごとに編成するのが一般的だ。しかし同校ではかねて「班替えに納得できない」「性格が合わずストレスを感じる」といった生徒の声があり、重大事態を機に廃止に踏み切った。
重大事態を巡っては、第三者組織の市教育委員会いじめ問題対策委員会が調査報告書で、いじめが激化した転機の一つに班編成を挙げた。
重大事態が起きた中学校では、班長が班員を選ぶ方式を取っていた。いじめの加害者は班長で、亡くなった男子生徒は加害者によって班員に選ばれており、班がいじめの温床になったと考えられている。
岐阜中央中では生活班に代えて、便宜的に決めた集団で給食配膳や掃除、理科室での実験を進めるほか、探究テーマや目的ごとにグループを組み、調べ学習に取り組んでいる。「当たり前を疑い、生活班を踏襲しないことで、多様な仲間の考えに触れ、広く良さに気付ける生徒が増えた」と上松校長。生徒の違和感や不安感をいち早く察知し、柔軟に集団づくりをすることが必要と強調する。
一方、「あえて班を大事にする」ことで教育環境を整えようとする学校もある。二つの小学校から進学する岐阜市六条東の陽南中では、年度初めの1カ月をかけて生徒同士の関係性をつかみ、じっくりと班を編成している。いじめ対策監の尾本裕樹教諭(40)は「自分にとって都合のいい班にしたい気持ちは誰しもあるが、いくつものストッパーで公平性を考える仕組み」と語る。重大事態後は、教員の目を通す機会を増やし、全ての生徒にとってより良い関係づくりにつながるよう心を配る。
具体的には、担任はまず学級委員や議員の生徒らと話し合い、仮の班を組む。その班を学年主任や養護教諭、いじめ対策監が見た上で、授業中の巡回や生徒からの情報提供を基にさらに協議。昼休みには、仮の班での学校生活について、学級委員や議員、班長らが経過を報告し合う。石原学校長(59)は「班は社会の縮図。協力したり、折り合いを付けたりする力を育てられる」と意義を訴える。
21日には授業参観を実施した。PTA副会長で1年生の保護者の西脇健さんは「班内で楽しそうに学ぶ姿を見て安心した。家でも『班長になった』と学校でのことを話してくれる。友達を気遣う気持ちも養ってほしい」と期待している。










