新型コロナウイルス禍で不況にあえぐ宿泊業で、1日1組限定の「一棟貸し」の宿泊施設が存在感を高めている。郡上市八幡町に昨年オープンした「THE OAK GUJO」は今秋、地元の飲食、サービス業者と連携した企画を新設。ウィズコロナ時代の宿泊需要の受け皿となれるか注目される。
築100年以上の2階建て古民家を改装した同施設は、市中心部の目抜き通りから細い路地を進んだ先にある。落ち着いた質感の白を基調とした外観で、城下町の風情が残る町並みと調和するよう設計された。
「完全プライベートの無人ホテル」をうたい、常駐するスタッフはいない。チェックインなどのフロント業務は備え付けの端末でリモート対応し、ビデオ通話で本人確認を行う。一般的な宿泊施設と比べ、他人との接触機会を抑えられる。
内装は随所に地域色を散りばめた。1階の床には長良川で拾った石を敷き詰め、川の流れを表現。あえて設けた段差は、郡上八幡の各家庭で利用されてきた水舟をイメージした。
最大6人が宿泊でき、家族連れや少人数グループの利用を見込む。休暇を楽しみながらテレワークで働く「ワーケーション」の拠点としての需要の取り込みも目指していく。
運営するのは、マンションの大規模修繕などを手掛けるカシワバラ・コーポレーション(山口県)。宿泊業に参入し、初の拠点として昨年12月に開業した。計画当初は新型コロナ感染拡大前で、無人化も人件費削減のためだったが、時流の変化に対応した運営にかじを切った。
宿泊客と地域をつなぐ企画も先月、本格的に始動。地域の焼き肉店スタッフを迎えた出張バーベキューや、サイクリングツアー運営会社と考案した独自コースを回るプランなど、地元事業者と連携した体験メニューを用意。今後も連携事業者を増やし、地元経済の活性化にもつなげる構えだ。
同社担当者の伊藤匡平さん(32)は「初めて郡上を訪れる宿泊客にも、地域で暮らしているような感覚を味わってほしい。各種体験も充実させ、再び地域を訪れるリピーターになってもらえれば」と期待する。
1泊の基本料金は1組6万円で、季節により変動する。詳細はインターネットの公式サイトや、写真共有アプリ「インスタグラム」(@theoak_life)で確認できる。










