「鮎を食べた人がおいしさに驚く顔を見るのが楽しい」と笑う室田正さん=飛騨市宮川町西忍

 夏の風物詩・鮎といえば県内では長良川が有名だが、近年、岐阜県飛騨市宮川町の宮川下流の鮎が"鮎通"の間で人気を集めている。

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 同市は市域の9割以上が森林で、その7割が広葉樹。樹木の深く張った根や落葉し地面に積もった葉が手伝い、ミネラルの豊富な水が川に流れ込む。餌のコケに覆われた大きな岩がごろごろと転がる中で育った鮎は、他より一回り大きく、身が引き締まっている。

 宮川町西忍の室田正さん(72)も、宮川下流の鮎にほれ込んだ一人だ。京都市出身で、小学3年生の時に釣り好きの父親について行った川で父親のさおを借りて糸を垂らすと鮎がかかった。「あの時の感覚は今でも忘れられない」。それからの夏は釣りに出掛けた。

 高校卒業後、釣り具メーカーとスポンサー契約し、55歳までプロの釣り師として全国の大会で活躍。引退後は各地の川を巡る生活をしていた。釣ろうとすると、さおが曲がるほど元気に暴れる宮川下流の鮎に出合い「ここの鮎と心中しよう」と4年前に移住した。

 お薦めの食べ方は塩焼き。「これが一番、本来の甘みや香りを楽しめる」。シーズン中は釣った鮎を炭火で焼いて提供する店を自宅前で開く。「このおいしさが広く知られていないのは悔しい」と地元漁協などと協力し、普及活動にいそしんでいる。

 今年の友釣り解禁は19日。「釣って面白い、食べておいしい。こんなにも魅力的な鮎は他にないよ」と熱っぽく語った。