11月27日に火災に見舞われた岐阜県大垣市開発町の日本酒専門店「さくら酒店」。倉庫に保管していた約2千本が被害に遭った。復活を期し、同店は12月12日にクラウドファンディング(CF)を開始。開始から3日で、当初目標の100万円の10倍となる1千万円の支援が集まった。社長の近藤悠一さん(42)は「支えてくれる人たちがいることを改めて感じた。しっかりした形で会社を復活させたい」と感謝する。
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同店は近藤さんと大学の同級生の駒澤健さんが2013年に立ち上げた。実店舗を持たずに電子商取引(EC)サイトのみで販売している。本社は近藤さんの両親の自宅に置き、敷地内の倉庫を両親から借りていた。火災の原因は、倉庫の隣の物置にあった家庭用冷蔵庫からの出火だという。
近藤さんは母親からの電話で火災を知った。「初めは何を言っているのか分からなかった」。慌てて駆けつけたが、ただ見ていることしかできなかった。「鎮圧してから2時間は何も考えられず、ぼーっとしていた」。さくら酒店の被害額は2千万円前後になる見込みだ。
近藤さんと駒沢さんが店を立ち上げたきっかけはまずい日本酒だった。近藤さんはアメリカに留学時に管理ができていない日本酒を飲んだ。まずさにショックを受けたという。酒業界に縁もゆかりもない中、「本来の味の日本酒を提供したい」と創業した。それだけに品質管理を重視。宮城県の蔵元から品質維持のためにマイナス5度で保管する必要があることを学び、火災に遭った倉庫でも創業資金をつぎ込んだ保冷庫を置いて管理していた。それほど大切に保管していた日本酒が火災に遭った。
日本酒は4段の棚に置いて保管していたが、一番上の瓶は溶けたり割れたりして飲める状況ではなかった。ところが下段の瓶を触ると冷たい瓶があり、まるで日本酒が助けを求めるわが子のように思えたという。「救わなくてはという気持ちになって、まだ飲めそうな瓶を運び出す作業を始めた」。火災の報を聞き、取引先や友人らが自主的に手伝いに来てくれて、一緒に翌朝までかけて運び出した。
この日を含め4日間、毎日15人程度手伝いに来てくれた。日本酒への愛情を持つ仲間たち。管理の大切さを教えてくれた宮城県の蔵元の社員もいた。
運び出した酒は今、海津市や岐阜市の知り合いの酒店で保管。損傷の激しかった酒を選んで飲んだところ、フレッシュさは無いが、個性的な味で飲めるものもあったという。
「飲めるなら売ってほしい」という声もあった。だが品質を重視してきた以上、売り物にはできない。そこで今回のCFで支援してくれた人へのリターンにすることにした。全てのチェックは終わっていないが、「半分の千本くらいは飲める状態であれば」と近藤さんは期待する。
近藤さんは「応援しているといった声を多くいただき、背中を押された。反響の大きさに驚いた。失ったものは大きいが、1日でも早く復活させたい」と感謝。仲間やCFの支援者の力を借りながら会社を復興し、日本酒の魅力を発信していこうと前を向く。
支援はCFサイト「READYFOR」で25日まで受け付けている。









