日本で最も女性社長の割合が少ないとされる岐阜県に、1人の女性社長が誕生した。創業74年の排水処理装置メーカー田中工業所(岐阜県大垣市)の5代目、田中佑子さん(37)だ。幼いころから運動が大好きで、大学院でスポーツバイオメカニクス(生体力学)を学んだ。業界最大手のスポーツ用品店に就職し、将来の夢を膨らませていた時、1本の電話が佑子さんの人生を大きく方向転換させた。

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 佑子さんは高校まで水泳に打ち込み、大学ではマネジャーとして水泳部に所属。卒業後は名古屋大学の大学院に進んでスポーツバイオメカニクス(生体力学)を研究した。2年生で体調を崩して中退したが、業界最大手のスポーツ用品店に就職した。

後継ぎの兄の訃報、経営は危機的状況

 働き始めて3年目の春、母から電話があった。「大変なことになった」。後継ぎとして父の下で働いていた6歳上の兄秀典さん=当時(32)=が、自転車の単独事故で亡くなったことを告げる電話だった。

 読書家で穏やかな性格の兄と、明るく体を動かすことが好きな自分。「タイプが全く違ったからこそ、いつも互いに新鮮な刺激を受けていた」

 すぐ実家に戻り、亡き兄と対面した。そのとき両親から初めて、会社の経営が危機的な状況にあることを聞かされる。「それまで自分には無関係という感覚で、何を造っているのかも詳しく知らなかった」