夢の技術、核融合。実現できれば海水から無尽蔵のエネルギーを作り出すことができる。温室効果ガスも出さず、地球温暖化を防ぐと期待されている。岐阜県は意外と関係が深い。自然科学研究機構核融合科学研究所(土岐市)が研究を進めているほか、核融合ベンチャーのキーマンたちを輩出している。各務原市育ちの後藤拓也さん(41)、岐阜市出身の松尾一輝さん(30)の2人だ。後藤さんは「Helical Fusion」社(東京都)の共同創業者兼取締役、松尾さんは「EX―Fusion」社(大阪府)の共同創設者兼CEOだ。どんな世界を見ているのか。2人が本紙のオンラインインタビューに応じた。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」1グラムで石油8トン分のエネルギー
核融合は太陽の中で起きている現象だ。水素などの質量の軽い原子核がくっつき、少し大きな原子核に変わる核融合反応によってエネルギーが生まれる。核融合発電は、そのエネルギーを利用して発電する。
理論上は燃料1グラム当たり石油8トン分のエネルギーが得られる。▽発電時に二酸化炭素を出さず、地球温暖化を防ぐ▽燃料の水素の同位体は海水から取れるので無尽蔵▽高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を出さない―などのメリットがあるとされる。実用化にはまだ至っていない。
高温のプラズマを磁場で閉じ込めるトカマク型やヘリカル型、レーザー核融合といった種類がある。12月に米ローレンス・リバモア国立研究所がレーザー核融合の実験で、燃料に投入した分を約1・5倍上回るエネルギーを得ることに成功したと発表した。
現在、日本も参加する国際機関がフランスでトカマク核融合実験炉を建設している。ITER(イーター)といい、2025年の運転開始を目指している。
米国を中心にベンチャー企業の参入が相次いでおり、国内には「EX―Fusion」「Helical Fusion」を含めた3社が存在する。
後藤拓也さん(後藤さん提供)
ヘリカル型核融合炉の実現目指す 各務原市育ち・後藤さんに聞く
―核融合を学ぼうと思ったきっかけは。
後藤 緑陽中学校(各務原市)に通っていたころ、母が広島で被爆していたことを知った。原子力を止めよう、そのためにはちゃんと勉強しようと思った。その後大学の授業で核融合を知り、これならエネルギー問題を解決できるのではとワクワクした。大学院に進学する際、明確に核融合をやりたいと言っていたのは私だけで、使命感も感じて選んだ。
―どんな取り組みを。
後藤 私も含め、核融合科学研究所(土岐市)の研究者3人らで2021年10月、「Helical Fusion」社を設立した。研究所での研究成果を基にヘリカル型核融合炉の実現を目指している。
―ヘリカル型とは。
後藤 らせん型のコイルのみで磁力線の籠を作りプラズマを閉じ込めるのが特徴。ヘリカル型は非常に安定した籠が常に存在するので定常運転に向いている。
―核融合炉はいつ実現するか。
後藤 難しい質問だ。いつできるか、というのは答えづらい。が、いつを目指しているか、というと40年、できればもう少し早く30年代に電気が出るところまで見せたい。数万から十万キロワット級のヘリカル型核融合発電所を30年代には世の中に出すのが目標。




