昨年のサッカー・ワールドカップの日本代表三笘薫選手ら海外やJリーグで活躍する選手を多数輩出する筑波大蹴球部。トップチーム(1軍)は、推薦入学組が多くを占める。その中で、医師や研究者を目指す学生が学ぶ難関の「医学群医学類」に一般入学し勉学に励みながら、1軍デビューを果たした岐阜育ちの部員がいる。3年川勝翔太さん(20)。小井土正亮監督(44)=岐阜市出身=は「医学群在籍で1軍の試合に出た部員はほとんどいない」と話す。文武両道を体現し、名門大学で奮闘している。

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筑波大の医学群医学類に在籍しながら、昨年、蹴球部で1軍デビューを果たした川勝翔太さん=岐阜市内

FC岐阜U―18から筑波大へ

 念願の1軍デビュー戦は昨年7月。「総理大臣杯全日本大学トーナメント」の出場チームを決める関東予選1回戦だった。ボランチとして試合終盤にピッチに立つと、仲間からの声援を背にプレー。10分ほどの出場だったが「特段の緊張もなく、意外と冷静だった」と振り返る。「ここまで来られたんだという達成感もあった」

 大阪生まれで、サッカーは幼稚園年長の頃に始めた。岐阜市に引っ越した小学3年以降は、中学まで若鮎長良FCでプレー。その後は岐阜高校に通いながら、FC岐阜U―18に所属。勉強、運動ともに県内トップレベルで実力を磨いた。

中央大との定期戦でプレーする川勝翔太さん(29)=昨年9月、東京都内(筑波大蹴球部提供)

「毎日コツコツと積み重ねられる選手」

 筑波大進学を目指したのも、文武両道が実現できると考えたから。高校の時に、国体の少年男子岐阜選抜のメンバーとして筑波大と練習試合をする機会があり、医学群の部員と話すことができた。大学でも高いレベルでサッカーと勉強の両立を望んでいることを伝えると、「環境的に筑波がいい」と助言をもらい、進学を決めた。

 蹴球部は4学年で180人ほどが在籍する。6軍まであり、精鋭集う1軍は、30人ほどの狭き門だ。川勝は4軍スタートだった。「周りのレベルを見て、4軍が妥当だと思った。最初は上まで行ける気がしなかったし、やっていけるかどうか不安もあった」

 周囲のスピードや技術は想像以上だったが、負けず嫌いな性格でのし上がった。昨年から1軍に定着。「派手さはないが、毎日コツコツと積み重ねられる選手」と小井土監督も認める。平日はほぼ毎日授業が詰まっているが、決して練習をおろそかにせず、日付が変わるころには就寝するよう心掛ける。「私生活が乱れて、プレーに影響が出るのが嫌なので」という徹底ぶりだ。

「チームを勝たせられる選手になりたい」とさらなる成長を目指す川勝翔太さん=岐阜市内

チームを勝たせられる選手に

 授業は解剖実習など専門的な内容も少なくない。ただ、勉強が苦手や嫌いといった意識はなく、むしろ「好き」という。特に大学は「自分の興味がある分野で、内容も面白い。新しい知識を吸収したり、発見があったりして楽しい」。高校のころから勉強法は一貫しており、やることを決めて時間内に終わらせる。効率よく計画的に時間を使い、文武両道を実現する。

 今秋からは約2年間、病院での実習に取り組む。選手でプレーするのは今年が最後と決めている。昨年、公式戦に出場できたのは1試合のみ。ベンチ入りも数試合にとどまった。「もっと安定して試合に出られるようになって、チームを勝たせられる選手になりたい」。高い志でさらなる高みを目指す。