自転車に乗る時のヘルメットの着用が4月、全ての利用者を対象に努力義務になる。岐阜県内の自転車販売店を訪ねると、ヘルメットの売り上げが急増していた。前年の倍以上に伸びている店や、発注したヘルメットの納品が遅れている店もみられた。岐阜県警によると、県内で自転車に乗っていて事故に遭い死亡した人の半数近くが頭部に致命傷を負っており、担当者は「ヘルメットの有無が命を守れるかどうかを左右すると言っても過言ではない」と力を込める。
「努力義務化の周知が進んできたのかも」―。大阪市に本社がある「サイクルベースあさひ」岐阜市橋店(岐阜市)の担当者は「慌ててヘルメットを買い求めに来る人が増えた」と驚く。全国で500店舗以上を展開する同社のヘルメットの売り上げは前年同期の2倍以上で、数量では過去最大を記録。同店など市内や近郊の3店舗では今年1~3月に約300個が売れ、前年同期の約5倍に上っている。
駆け込み需要が膨らみ、供給が追い付かない販売店もある。岐阜市北山の自転車販売店「アクタミサイクル」は例年よりも発注数を大幅に増やすことで需要に応えてきたが、今年1月上旬に発注したヘルメットがまだ店に届かない。店主の林富佐夫(ふさお)さん(77)は「在庫がないので、お客さんに断りを入れるケースも出てきた」と苦笑いする。
一方、「髪型が崩れるから、できればかぶりたくない」といった否定的な声も根強く聞かれるといい、林さんは「重要性が広く伝わっていないのでは」と案じる。着用は努力義務で、罰則はない。ただ、着用が万一の事故で被害の大小を分けるケースがあるようだ。
林さんの知人は昨年4月に、自転車でツーリングをしている際に路上で転倒して、3日間ほど意識不明の状態に陥ったが、一命を取り留めた。ヘルメットで頭部を保護していたためだ。事故の衝撃で亀裂の入ったヘルメットは林さんを通じ岐阜中署に寄贈し、啓発に役立ててもらっている。林さんは「着用をためらわないでほしい」と訴える。
必要性は統計からも見てとれる。県警によると、昨年までの5年間で、県内で自転車に乗っていて事故に遭い死亡した計48人のうち47・9%が頭部を損傷していた。自転車の事故では、ヘルメットを着用していない人の致死率が着用していた人の約2・8倍だった。交通企画課の担当者は「命を守るためにかぶってほしい」と呼びかけた。
【ヘルメット着用の努力義務化】4月1日に施行する改正道交法では、自転車を運転する全ての人がヘルメットを着用するよう努めなければならないとしている。従来は、保護者を対象にして13歳未満の子どもに着用させる努力義務があった。岐阜県内では、県自転車条例の改正で昨年10月から着用を努力義務としており、昨秋ごろから県警などが啓発に取り組んできた。














