一人でも多くの女性が、思い描く人生を歩めるように。
「わたしのキャンバスプロジェクト」は、一人でも多くの女性が子宮頸がんをはじめとした婦人科系疾病にくじかれず、思い描いた人生を歩んでほしいという願いのもと、年間を通して女性の健康を啓発・応援していくキャンペーンです。
presented by 岐阜新聞女子net
vol. 02 「子宮内膜症」と「子宮筋腫」について知る
「ぎふ子宮頸がん予防啓発キャンペーン」は今年で9年目を迎えます。
4月9日(子宮の日)にちなみ、毎年4月から子宮頸がんをはじめとする婦人科系疾病について、県内の産婦人科医や薬剤師の監修のもと特集しています。
第2回目のテーマは、多くの女性に起こりやすい子宮の疾患「子宮内膜症」と「子宮筋腫」についてです。産婦人科医の先生にその症状と治療方法について伺いました。
PROFILE
松波総合病院
松波 和寿 病院長
1983年東京医科大学卒業後、岐阜大学病院、高山赤十字病院、下呂温泉病院、多治見市民病院に勤め、2016年より病院長。2018年より岐阜県産婦人科医会会長。
✓まずはセルフチェック
子宮内膜症と子宮筋腫にはそれぞれ自覚症状がおこることがあります。以下の症状に当てはまる場合は、婦人科の医師に相談してみましょう。
□ 激しい月経痛がある ・・・ A・B
□ 腰が痛い ・・・ A・B
□ トイレが近い ・・・ B
□ 排便痛がある ・・・ A
□ 便秘がち ・・・ B
上記症状に当てはまった方は・・・
【A】子宮内膜症の可能性あり
【B】子宮筋腫の可能性あり
※セルフチェックは情報提供を行うことのみを目的とし、医師や専門家の診断に代わるものではありません。
症状A 子宮内膜症
【?】子宮内膜症とは?
子宮内膜が何らかの原因によって本来あるべき子宮の内側以外にできてしまう疾患です。患者は20〜30代、ピークは30〜34歳と生殖年齢に当たる年代が多いのですが、不妊のリスクを高めるとも言われているため患部は一定ではなく、卵巣や子宮と直腸の間のくぼみなど、主に子宮の周辺で発生します。子宮内膜症は女性ホルモンによって月経周期に合わせて増殖し、経血がうまく排出できずに溜まったり、周囲の組織と癒着を起こしたりします。中でも「チョコレートのう胞」は、放置すると稀に卵巣がんになることがあるため注意が必要です。
チョコレートのう胞・・・卵巣にできる子宮内膜症の一種。排出されない古い血液がチョコレートの様に固まり、袋状に形成される。
【?】どんな症状があるのですか?
代表的なものは激しい月経痛で、子宮内膜症患者のうち約90%の人にみられます、月経の回数を重ねるごとに痛みが強くなり、月経時以外でも腰痛や下腹部痛、排便痛を伴う場合があります。市販の鎮痛薬である程度痛みは治まりますが、子宮内膜症の進行を抑えることはできません。
【?】主な治療法は?
まだ妊娠を希望しない場合は、薬剤で痛みや月経量を軽くする薬物療法を、すぐに妊娠を望む場合やチョコレートのう胞など病巣部がはっきりしている場合は、手術療法を検討します。
厄介なことに、子宮内膜症はどんな治療法を選択しても再発する頻度が高く、長期にわたって経過観察をしなければなりません。自覚症状がない場合もあるため、定期的に婦人科検診に行きましょう。
【?】予防法はあるのですか?
子宮内膜症患者は増加しており、その一因として、妊娠回数の減少によって女性が一生に経験する月経回数が増えたことが考えられます。昔と比較すると、現代女性は約450回と約5倍も違います。早期のホルモン療法で月経回数を減らし、子宮内膜症の進展を防ぐことができます。
症状B 子宮筋腫
【?】子宮筋腫とは?
子宮にできるコブのような良性腫瘍のことを指し、30〜40代の女性に多くみられる疾患です。できる場所は粘膜下筋腫・しょう膜下筋腫・筋層内筋腫などがあり、筋腫の数や大きさはさまざまです。卵巣から分泌される女性ホルモンによって筋腫は大きくなります。反対に閉経に近づき、女性ホルモンの分泌量が少なくなると発育が止まります。
粘膜下筋腫・・・不正出血や不妊症の原因になる。
しょう膜下筋腫・・・大きくなるまで自覚症状が出にくい。
筋層内筋腫・・・小さい筋腫は症状がないものの、大きくなると不正出血や流産、早産の原因になる。
【?】どんな症状があるのですか?
自覚症状は筋腫ができた位置によって異なります。子宮の内側にできた筋腫は、小さくても症状が強く、月経量が多くなって貧血を起こしたり、膀胱や直腸を圧迫して頻尿や便秘になったりするなどの症状が出ます。反対に子宮の外側にできた筋腫は、大きくなっても自覚症状が出ない場合もあります。
また筋腫のできる位置に関わらず、不妊や早産、流産の症状がみられることがあり、妊娠を希望する女性は注意が必要です。
【?】主な治療法は?
子宮筋腫は、超音波検査で容易に診断が可能で、筋腫が小さかったり、無症状だったりする場合、治療の必要はありません。
検査の結果、治療が必要と診断された場合は、患者の年齢や妊娠希望の有無などに合わせて、子宮筋腫だけを摘出する子宮筋腫核出術や子宮全摘出などの手術療法、女性ホルモン剤で月経量を調整したり、鉄剤や鎮痛剤で貧血や痛みを抑えたりする薬物療法を行います。
主催|岐阜新聞社
後援|岐阜県医師会 岐阜市医師会 岐阜県産婦人科医会 岐阜市産婦人科医会