カクテル片手に舞妓(まいこ)のあでやかな踊りに酔いしれて―。岐阜市杉山町に、同市の芸妓(げいぎ)団体「鳳川伎連(ほうせんぎれん)」の舞妓・喜久有さん(20)による舞や小唄を楽しめるバー「可也家(カナリア)」が今夏オープンした。店主を務める鳳川伎連代表で幇間(ほうかん)の喜久次さん(53)は「お座敷文化の裾野を広げたい」と思いを語る。
花柳界は元来、一見さんお断りの世界。だが「これまで縁のなかった若い人にも知ってほしい」という喜久次さんの思いがオーナーの小森美穂さん(53)と一致。拠点となる店として、6月に開いた。
出演の声がかかると、喜久有さんは店内の3畳分の畳を舞台に、三味線に合わせ舞を披露する。喜久次さんが生けた季節の花や、親交のある京都の置屋の舞妓たちの福うちわが飾られ、カウンターに据えたトチの一枚板や組子細工を施した建具は市内の業者がしつらえた。京都のホテルで経験を積んだバーテンダー中島健登さん(25)が作る、旬のフルーツの味を引き立てるカクテルが自慢だ。
茶寮として営業する昼は京都「一保堂」の濃茶を使ったかき氷や、薄茶、上生菓子を提供。「岐阜ではなかなか味わえないお茶。おいしいお抹茶を飲みたい、という声に応えた」と喜久次さん。喜久有さんは週2、3日、稽古の合間を縫い和服姿でもてなす。
コロナ禍明けの今年、お座敷の客足は昨年の倍となるまでに回復した。ただ、コロナ禍の間は収入が激減。可也家の売り上げは、新調できなくなっていた舞妓の衣装やかつらの購入費にも充てられる。また3月にデビューしたばかりの喜久有さんや、後に続く舞妓たちの接客スキルを鍛える場にもなる。
実際、喜久有さんは「お客との距離がぐんと近くなった。舞妓が岐阜にもいるのと驚かれ、喜ばれる」と反響をひしと感じている。喜久次さんは「花柳界に興味のある人の入り口になり、岐阜の伝統文化の継承につながれば」と話す。
喜久有さんの出演は予約制、お花代別途。可也家のインスタグラムで休業日などを確認できる。
10~12日に岐阜市で開かれる「長良川鵜飼桟敷」(NPO法人ORGAN企画)のうち、11日は鳳川伎連と可也家が主催し、舞やお座敷遊び、カクテル提供などを行う。問い合わせは鳳川伎連、電話058(265)5887。













