VOL.42

健康をつくることは、人生をもっと豊かにする。

 糖尿病について正しく理解してもらうため、国連は、毎年11月14日を「世界糖尿病デー」と定めています。

 2020年度の岐阜県の特定健診受診者のうち、糖尿病が疑われる者(HbA1c6.5%以上)の割合は7.2%と、2014年度に比べると1.7倍も増加しています。糖尿病等の生活習慣病(NCDs:非感染性疾患)を予防するためには、普段からの健康づくりが大切です。普段の身体活動(生活活動や運動)や、食生活の内容を振り返り、できることを取り入れてみませんか。
 

11月14日は世界糖尿病デー(11月12日~18日は全国糖尿病週間)

からだを動かそう!

 からだを動かすことで筋肉内での糖代謝を促し、それによって血糖値が下がることで、糖尿病の予防に繋がります。

身体活動と運動強度

出典:運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書(2013年3月)

  

 スポーツをすることだけが運動ではありません。日常生活での歩行や階段の登り降りだけではなく、お風呂掃除や洗濯、洗車なども立派な運動です。

 身体活動の強さを表す単位は『メッツ』と呼ばれており、日常場面のいろいろな生活活動の運動強度をまとめたのが右の表になります。この表を見ると、普通に歩く歩行と台所の手伝いが同じ運動強度であることが分かります。

 また、年齢や、血糖値や血圧などの健診結果によって、推奨される身体活動が設定されており、適切な運動を継続することで、生活習慣病のリスクを減らすことができます。

出典:健康づくりのための身体活動基準2013

食生活を見直そう!

 健やかな毎日のためには朝・昼・夕の3食の食事と、「主食・主菜・副菜がそろった食事」をとることが勧められています。岐阜県民の「主食・主菜・副菜がそろった食事を1日2回以上摂っている人の割合」は約7割(岐阜県民健康意識調査)であり、目標値80%には届いていません。

 生活習慣病と毎日の食生活とは大いに関係がありますので、食生活を見直すことは、健やかな毎日のためにとても大切なことです。

体重測定からはじめませんか?

 体重の増減は、エネルギーの摂取量と消費量のバランスの目安です。毎日測定することで、体重の変化だけでなく、自身の生活が見えてきます。

▶エネルギーの摂り過ぎ(エネルギーの摂取量が消費量を上回る)
食事の量や内容、食べ方に注意しよう。

▶体格指数(BMI)をチェック!
*BMI(Body Mass Index)とは…肥満度を表す指標として国際的に用いられる体格指数。体重と身長を使って計算。

資料:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」 

栄養バランスを整えよう

 コンビニ等では、ついつい好きなものを選んでしまいがち。主食・主菜・副菜を意識して選択すると、栄養バランスが整いやすくなります。

パッケージの栄養成分表示を活用しよう

 普段、食品を選ぶとき、栄養成分表示を確認していますか。食品を選ぶ際に、栄養成分表示を確認する習慣をつけ、きちんと読み解き、上手に活用して自分にあった食品を選ぶことが、食生活を改善し、健康の維持・増進に役立ちます。

 

糖尿病の正しい理解を広げるために

 糖尿病の予防に対する正しい理解を広げるため、国内では、世界糖尿病デーである11月14日を含む1週間を「全国糖尿病習慣(今年は12日~18日)」として、さまざまな啓発活動が行われます。

 糖尿病のシンボルカラーであるブルーを使った、全国で行われるブルーライトアップもその啓発活動の一環です。岐阜県では、新しい県庁舎と岐阜関ケ原古戦場記念館でライトアップを行います。岐阜城や岐阜市役所など、県内各地がブルーに包まれます。

啓発イベント

11/14 ㈫ 13:00~15:00
【場所】イオンモール各務原(各務原市那加萱場町3-8)

ライトアップ

11/13 ㈪〜11/16 ㈭
▶岐阜県庁舎/18:00~22:00
▶岐阜関ケ原古戦場記念館/17:30~20:00

▲岐阜県庁舎

▲岐阜関ケ原古戦場記念館

▲岐阜城

正しい知識を知り社会全体で考えよう

岐阜大学医学部附属病院副病院長
岐阜県糖尿病対策推進協議会副会長

矢部 大介 氏

 「糖尿病」のイメージは?「早死にする」、「食べ過ぎ」、「運動不足」などを挙げる人も多いですが、こうしたイメージは必ずしも正しくありません。例えば適切な治療を継続すれば、平均寿命は「糖尿病」のない人と変わらないという報告もあり、日本糖尿病学会も、単に長生きするのではなく、糖尿病のない人と変わらない質の高い人生を送ることを治療目標に掲げています。また、糖尿病の9割以上を占める「2型糖尿病」は、食べ過ぎや運動不足など怠惰な生活習慣が原因と誤解されがちですが、2型糖尿病になりやすい体質のため健康的な食事や運動を実践していても発症することがしばしば。しかし、家族や友人、同僚から「糖尿病」を非難されると思いこみ、病気のことを隠し続けるあまり、医療機関に通院して適切な治療を受けられず、残念ながら透析導入や失明にいたる人もいます。健診で「糖尿病」を指摘されたら一病息災と受け止めて、いきいきライフ実現に向け、あなたにあった適切な治療を続けましょう。

 「糖尿病」のもつイメージを刷新すべく日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は、世界的に広く使われる「ダイアベティス」を「糖尿病」の新たな呼称案として提案。尿という言葉がネガティブなイメージを与えうる点に加え、「尿に糖が出る」ことは病気の本質でありません。呼称について今後さまざまな場で議論がなされると思いますが、まずは糖尿病についての正しい知識を知り、社会全体で偏見を解消していくことが大切です。