約半世紀ぶりの自国開催となった東京五輪は8日、閉幕した。新型コロナウイルス感染拡大による1年延期、大半の競技が無観客、さらには緊急事態宣言下での開催と、異例の状況で行われた今大会。過去最多の12競技に計32人が出場した岐阜県ゆかりの選手は、いずれも開催への感謝の気持ちを語り、全力で戦い抜いた。代表の誇りを胸にひたむきに競技に取り組む姿は、県民の心に響き、スポーツの素晴らしさを伝えた。

 「最高っすね。戦い切ることができたのは、皆さんの応援のおかげ」。ボクシング男子フライ級で銅メダルに輝いた田中亮明(27)=中京高教=は準決勝で敗れた直後、万感の思いを口にした。五輪中止を求める声は期間中もやまなかった。それでも、一生に一度あるかないかの自国開催の舞台。「最高の気分になれたのは、五輪を開催してくれたから。大会関係者には本当に感謝している」と涙を浮かべた。

 カヌー・スプリントに出場した久保田愛夏(25)=ぎふ瑞穂スポーツガーデン=は、開幕直前に「反対している人もいる中で、開催していいのかという気持ちはある」と話していた。東京都では1日の新規感染者が5千人を超える日もあった。期間中も「まだ複雑な気持ちはある」と吐露していたが、多くのボランティアらが炎天下の下、コロナ対策に気を配りながら大会を運営する姿に心を打たれたという。自身の最終レース後には「やり切ったと思えるレースだった」と話し、力を出し尽くした満足感を口にした。

 今大会は大半の競技が無観客開催となった。県ゆかりの選手も自転車の1人を除き、関係者と報道陣のみがスタンドから見守る異様な雰囲気の中で熱戦を演じた。3大会連続出場を果たしたフェンシング女子エペ個人の佐藤希望(35)=大垣共立銀行=は、過去2大会の経験があるがゆえに「(3度目の五輪は)お客さんがいなくて寂しかった」と素直な思いを明かした。

 一方、選手の地元では、テレビやインターネット中継越しにエールを送る姿があった。8日のメダリスト会見でボクシングの田中は「地元の応援は本当に力になった。皆さんが期待してくれていたので、何か爪痕を残したいと考えていた」と笑顔を見せた。

 「(コロナの影響で)自分たちよりずっと苦しい思いをしている人たちがいる中で、スポーツができたことに感謝している」と話したのは、ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」の主将を務めた真野由佳梨(27)=ソニーHC=。ホッケーは男女とも目指した結果は残せなかったが、連日多くの人から手元に届く応援メッセージを励みに最後まで戦い切った。「一人でも多くの人に、プレーを見て何か感じたり、伝わったりしていたらうれしい」と真野。選手の思いは確かに届いたはずだ。