「口明方」から通称・高雄山を登ると、明宝方面も見渡すことができるようです。明方と明宝。この二つの地名は単なる土地の名前であることを超え、地域の歴史を後世に伝える貴重な財産でもあります。

 古いのは「明方」です。中世に素明(そみょう)と善明(ぜんみょう)という「明」のつく有力者が住んでいた方角だったことが由来に挙げられるそうです。明方の入り口に当たる南側は「口明方村」、北側の奥地は「奥明方村」となりました。1970年に奥明方村は「明方村」となりましたが、「めいほう」と誤読されることや、村おこしなどのため、92年に「明宝」と改称されました。

 ただ、口明方はそれ以前の54年に旧八幡町に合併していたので、村名改称の影響を受けず、古来の地名を引き継いだとみられています。今でこそ「明宝」の名前は定着していますが、ルーツである「明方」という呼び名もちゃんと地域に残っているのは、とても尊いことだと思います。

 

【答え】くちみょうがた