「児童が増えている小学校はここだ! 20年分のデータを分析」の第3弾。今回取り上げる美濃加茂市は、児童数が過去20年間で約9%増加しています。これまでに見た岐阜市、大垣市をはじめ、時代は少子化の波にのまれていますが、この流れに逆らうことのできた理由はどこにあるのでしょうか。美濃加茂市といえば、全人口の10%に上る外国人の多さで知られます。また、平成の大合併で単独の道を選んだため、市域が比較的狭く、周りを加茂郡7町村に囲まれています。考察を進めると、これらの特徴を背景に、子どもが増えた二つの要因が浮かび上がりました。
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県が公表している過去20年間の公立小学校ごとの児童数(各年5月1日時点)によると、美濃加茂市の2024年の児童数は3543人。データ上もっとも古い2005年の3256人から287人、割合にして9%増加しています。少子高齢化の潮流にあって、この20年で児童数が増えたのは、県内の市では美濃加茂と瑞穂のみ。増加率では美濃加茂がトップでした(瑞穂は6%増)。
さらに驚くことに、市内9つの公立小学校中、6校で増加、2校が横ばいとなっています。市内ほぼ全域で子どもの数が増える、または維持しているという状況は、減少の学校が大勢を占めていた岐阜、大垣とは大きく異なります。

学校ごとに見てみましょう。増加率のトップは古井小の27%増。2024年の児童数は799人で、この20年で172人増加しています。
古井小校区は市内で最も外国人の多い地域です。美濃加茂市は学校別の外国人児童数は公表していませんが、古井小のデータを細かく見ると、2005年に627人だった児童数はいったん減少し、2010年代前半は550人ほどで推移しています。2015年ごろから増加に転じ、この10年でおよそ200人のプラスとなっています。

この動きは、2008年のリーマン・ショックをまたいだ市内の外国人人口の変化と重なります。美濃加茂市の集計によると、リーマン・ショック時に5900人ほどいた外国人は、一時は4千人を割りました。しかし、2015年を底に右肩上がりとなり、2024年には6千人を突破しました。このうち約4割が古井地区に住んでおり、古井小の児童数の増減に外国人の子どもの数が大きく関わっていることが読み取れます。
美濃加茂市の在住外国人は古井小校区に限らず、太田、加茂野、下米田小校区など広い範囲に居住しており、いずれの学校も児童数は増えるか横ばいです。製造業に勤務する労働者世帯が中心で、子どものいる家庭も多いため、児童数を押し上げているようです。
若い世代の層の厚さは数字にも表れています。2020年の国勢調査によると、美濃加茂市の0~14歳の年少人口の割合は15.3%で、県全体の12.3%より3ポイント高くなっています。
◆外国人にも働きやすく住みやすい
美濃加茂市の住宅事情に詳しい不動産鑑定士の渡邉貴紀さんは外国人の流入が続く背景として、①働く場②外国人コミュニティーの成熟③住宅価格の安さ-の3点を...