パースペクティブ・テクノロジーズ(UPT)のケーブル敷設船の乗組員がSNSに2023年11月ごろ投稿したバレンツ海の写真

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の調査で、核ミサイル搭載の原子力潜水艦を守るためのロシアの海中監視網「ハーモニー」は、北極圏バレンツ海にあるロシア軍の重要拠点を結んだ海域に築かれている可能性が高いことが分かった。調査を受け、欧州防衛筋や専門家も同様の見方を強めている。

 「ハーモニー」を巡っては、ロシア軍がNEC製の海底通信ケーブルを軍事転用した疑いがあることが23日、判明した。

 ドイツの公共放送NDRの分析チームは、NECの海底通信ケーブルなどを調達したキプロスの企業モストレロ・コマーシャルとロシアの通信インフラ企業パースペクティブ・テクノロジーズ(UPT)名義の調査船やケーブル敷設船計8隻に着目した。

 2016〜24年にかけて、これらの船舶が1ノット以下の低速度で作業している様子を船舶自動識別装置データで取得。北方艦隊が司令部を置くセベロモルスク、ノバヤゼムリャ島のロガチョボ空軍基地近辺、アレクサンドラ島のナグルスコエ空軍基地の3点を結ぶ海域に監視網が構築された可能性が高いと結論付けた。