厚生労働省は29日、生活保護費の2013〜15年の引き下げを違法とした最高裁判決を巡り、減額分を当時にさかのぼって追加支給する場合、既に死亡している人は対象外とする案を明らかにした。

 専門委員会で論点として提示。過去の判例などに基づき、生活保護は利用者本人を対象とした権利であり、本人が死亡した場合は遺族などに引き継がれないことを理由に挙げた。

 原告側は、生死にかかわらず全ての生活保護利用者に減額分の全額を支給すべきだと訴えている。弁護団によると、これまでに原告だけでも200人以上が亡くなっている。

 厚労省は「仮に追加給付を行う場合、死亡している者は権利が消滅し、遺族などに対する給付は行わないことが適当ではないか」と説明した。

 現在は生活保護を利用しなくなった人は「最低生活の保障を要しない者」として、追加支給の対象とするかどうか慎重に検討するべきだとの考えも示した。生活保護に関しては「現在の困窮に対応する性質」だとした。