関東大震災の死者の住所分布

 1923年に発生した関東大震災で、詳細な記録が残る死者約3万8千人の住所が、東京東部を流れる隅田川の東側地域に大きく偏り、西側の4倍以上だったことが23日、分かった。東大地震研究所助教の大邑潤三さん(地理学)が記録を基に、当時の住所を現在の緯度経度に変換すると、西側は比較的分散したのに対し、東側の本所区(現墨田区)や深川区(現江東区)などで分布が目立った。

 東側は工業化に伴い人口増加が著しく、大規模火災で被災した旧陸軍被服廠跡の広大な空き地があった。共同通信が大邑さんからデータの提供を受けて地図上で示した結果、被服廠跡から約1キロの範囲に分布が集中。自宅近くの被服廠跡に避難した多数が犠牲になった可能性が可視化された。

 関東大震災は国内で最も犠牲者が多い自然災害で、死者・行方不明者は約10万5千人。うち約7万人が東京府(当時)で亡くなった。さらにこのうち約3万8千人分について、埋葬許可の書類などを基に住所などを記した「震災死亡者調査表」が作成された。