【ロンドン共同】当時天皇だった上皇さまが1998年に即位後初めて国賓訪英し、パレードなどで旧日本軍の元英捕虜たちから激しい抗議行動を受けた際の対応に関し、当時の英政府側が天皇陛下の示した「理解と共感」の態度が両国関係に融和をもたらしたと高く評価していたことが6日分かった。機密解除された英公文書で判明した。
95年の対日戦勝50年の節目以降、英国では反日感情が高まっていた。激烈な抗議は両国間の亀裂を浮き彫りにしたが、陛下が向き合う姿勢を示したことで元捕虜たちの感情に変化をもたらし、融和につながった経緯が明らかになった。
駐日大使の報告書によると、歓迎式典パレードで陛下とエリザベス女王がロンドンのバッキンガム宮殿近くの大通りを馬車で行進中、元捕虜たちは馬車に背を向けて「帰れ」などとやじを飛ばし、日本国旗が燃やされた。
陛下は「無視したり、建物や車の中に逃げ込んだりせず、向き合った」と説明。「元捕虜らの感情に理解と共感を示す意図があった」とし、この態度が「王室と皇室の絆を強めた」と分析した。









