おじさんには、おじさんの食べたいものがある。「俺たちの岐阜メシ」は、岐阜市在住の食通・山本慎一郎さん(山本佐太郎商店社長)が、年間300日以上の外食生活で出会った“リアル岐阜メシ”を語る連載企画です。第5回は大鵬(北方町)。実は岐阜の焼き肉店のルーツの一つだといいます。要予約の「レジェンド」店にうかがいました。(原則月1回掲載。岐阜新聞デジタル独自記事です)
◆60年前に柳ケ瀬で開業
大鵬(北方町)・柏戸(岐阜市西園町)・隆の里(岐阜市八代)、岐阜には横綱の名前を冠した焼肉店が3軒ある。昭和41年に岐阜市の柳ケ瀬・神室町で創業した大鵬はその源流にあたる。
時代は高度経済成長期、柳ケ瀬には多くの飲食店が立ち並んだ。「巨人・大鵬・卵焼き」が子どもの好きなものの代名詞として流行語になった。対語として「大洋・柏戸・水割り」が大人が好きなものとして挙げられたのもおもしろい。当時の神室町には、大鵬の他にも、一力(琴塚)、マルヤス(閉店)と3軒の焼肉店があったが、立ち退きとなり、大鵬は北方商店街へ移転した。
創業より60年、店主の安倍浩(あんばいひろし)さんは2代目で、先代から店を継いだ。飛騨牛ど真ん中の岐阜において、30年前より前沢牛を提供している。安倍さんは岩手県奥州市の出身である。先代が前沢牛に惚れ込み、仕入先に頼み込んで調達、故郷への想いを大切にしながら提供されている。米も岩手県産のひとめぼれだ。
◆いい焼き肉店のポイントは「火」
さて、焼肉店でおいしく肉を食べたいなら「火を観る」ことが肝心だ。...









