AIがCT画像を解析するシステム「ERATS」の画面

 救急医療で生死を分ける「止血」をいち早く的確にしようと、大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は23日までに、患者のエックス線CT画像を人工知能(AI)で分析し、負傷部位を短時間で特定するシステムの臨床研究を始めた。わずか10秒以内で判定が可能で、迅速な治療が期待できるという。

 センターによると、ショック症状を伴うような大量出血が30分続けば死亡率は50%に、1時間で100%に達するとされ、治療は一分一秒を争う。出血箇所の特定にはCT画像が有効だが、患者1人で千枚以上に及ぶこともあり、医師の負担が課題となっていた。

 今回導入したシステムは「ERATS」。全国十数の医療機関で蓄積した約1万症例、約120万枚の画像を基に、画像診断の専門医が解析したデータを学習した。膨大な画像から異常部分を見分けるには経験豊富な医師でも5分ほど要するが、ERATSは10秒以内で可能だという。

 ERATSの導入によって救命率のさらなる向上を目指すという。また夜間の少人数体制や救急医が不足する医療機関での活用が期待される。